若く、健康でいたいなら。私が気をつけている5つのこと

若く健康でいたいなら、やめた方がいいこと【4/5】
今日のテーマ:砂糖

4.砂糖をやめる

ここは、ここまでの中で一番書きにくいところです。なぜなら、私自身が甘党だからです。

タバコについては、「吸わない方がいいですね」と比較的涼しい顔で書けました。お酒についても、「健康だけを考えるなら、飲まない方が合理的です」と言えました。

ところが砂糖になると、急にこちら側にも被害が及びます。

ケーキ。チョコレート。和菓子。アイス。全部なくなった世界で長生きしたいかと聞かれると、少し考えてしまいます。

ただし今回の記事は、私自身が若く、健康でいるために気をつけていることです。ですから、自分に都合の悪いものだけ研究対象から外すわけにはいきません。

むしろ、こういう時こそ調べます。

最初に。「砂糖をやめる」は少し言い過ぎです

いきなりタイトルを否定します。今回、「砂糖をやめる」と書いていますが、医学的には、砂糖を一生ゼロにしなければ健康になれないという話ではありません。

WHOもそんなことは言っていません。WHOが摂取量を減らすよう勧めているのは、主に遊離糖類(free sugars)です。

これは、食品や飲料を作る時に加えられる砂糖。料理の時に加える砂糖。はちみつ。シロップ。果汁や濃縮果汁などに含まれる糖。などです。

一方で、果物や野菜の細胞の中に自然に含まれている糖まで、「砂糖だから全部やめましょう」という話ではありません。

現在WHOは、遊離糖類を一日の総エネルギー摂取量の10%未満にし、可能であれば5%以下に抑えることで、さらに健康上の利益が期待できるとしています。

ですから正確には、砂糖をやめるというより、砂糖を無意識に摂り続ける生活をやめる。こちらの方が、今回私が言いたいことに近いです。

砂糖そのものが「毒」なわけではない

ここも先に書いておきます。インターネットでは、「白砂糖は毒」「砂糖を食べると身体が炎症だらけになる」「砂糖は麻薬と同じ」など、かなり強い言葉を見ることがあります。

私は、こういう表現は使いたくありません。砂糖は砂糖です。毒薬ではありません。

問題なのは、量と頻度と、それを含む食生活全体です。

例えば、誕生日にケーキを食べた。旅行先でソフトクリームを食べた。それだけで突然、身体中に炎症が起きて老化が始まる、という話ではありません。人間の身体は、そこまで神経質にはできていません。

問題は、朝の菓子パン。昼の甘いカフェラテ。15時のお菓子。夜のデザート。そして本人は、「そんなに甘いもの食べてないんですけどね」と思っている。

この、本人の認識より砂糖の方が働き者という状況です。

血糖値が上がると、なぜ困るのか

ここは少し身体の中に入ってみます。甘いものや糖質を含む食事をすると、消化・吸収されたブドウ糖が血液中に入ります。すると血糖値が上がります。そこで登場するのが、インスリンです。

膵臓から分泌され、血液中のブドウ糖を筋肉や脂肪組織などへ取り込ませたり、肝臓での糖の出入りを調節したりします。これは正常な生理反応です。

食後に血糖値が上がること自体が悪いわけではありません。むしろ食べたのに血糖値が全く変わらない方が不思議です。

問題は、慢性的にエネルギーを摂りすぎ、体脂肪、とくに内臓脂肪が増え、インスリンが効きにくくなる状態です。これを、インスリン抵抗性と呼びます。

すると膵臓は、「効かないなら、もっと出そう」とインスリンを多く分泌するようになります。しばらくは、それで血糖値を保てる。

でも、この状態が長く続けば、やがて糖代謝のバランスが崩れ、2型糖尿病などへつながっていきます。

つまり、血糖値が高いから数字として困るのではありません。

その背景で、血管。神経。腎臓。目。心臓。などに、長い時間をかけて影響が積み重なっていくから問題なのです。

「砂糖を食べると太る」は、少し雑

ここもよくある話です。砂糖を食べる。太る。以上。

……としたくなりますが、もう少し丁寧に考えた方がいい。

体重増加の基本には、摂取するエネルギーと消費するエネルギーのバランスがあります。

砂糖だけに、「食べた瞬間、脂肪になる特殊能力」があるわけではありません。ただし、遊離糖類、とくに砂糖入り飲料は、エネルギーを摂りやすい割に満腹感を得にくいという問題があります。

コーラを500mL飲むことはできます。でも同じくらいの糖質を、固形物として短時間に食べようとすると、案外大変です。

液体は入ります。恐ろしいほど、すんなり入ります。

WHOも、遊離糖類の摂取が食事全体のエネルギー密度を高め、不健康な体重増加につながり得ることを指摘しています。また、砂糖入り飲料の摂取増加は体重増加と関連しています。

ですから、甘いものが好きな人ほど、まずケーキを敵視するより、普段飲んでいるものを見た方がいいかもしれません。

砂糖入りのコーヒー。清涼飲料水。エナジードリンク。甘い紅茶。カフェで何気なく頼む甘い飲み物。飲み物は、あまり「食べた」という記憶に残りません。カロリーには、ちゃんと記憶されています。

「炎症体質」って本当にあるのか

ここは私自身、今回きちんと整理しておきたかったところです。

よく、「砂糖を食べると身体が炎症体質になる」と言われます。この言葉、分かったような気になるのですが、医学用語としての「炎症体質」という診断があるわけではありません。

一方で、肥満、とくに内臓脂肪が増えた状態では、脂肪組織からさまざまな炎症性物質が分泌され、慢性的な低度炎症が起こることはよく知られています。

そして砂糖を多く含む食品や飲料を過剰に摂取し、結果としてエネルギー過剰や肥満につながれば、間接的にそうした状態へ関わる可能性があります。

つまり、「砂糖を一口食べると炎症が起きる」というより、高糖質・高エネルギーの食生活が続き、肥満や代謝異常などが重なることで、慢性的な炎症と関係する。と考える方が正確です。

この違いは、結構大切です。何でも、「炎症です」と言ってしまうと、また炎症にも過重労働をさせることになります。

自律神経に続いて、炎症まで万能説明係にしてはいけません。

そして「糖化」の話

今回のテーマ、若くいたいというところで出てくるのが、糖化です。

糖化とは、ブドウ糖などの還元糖が、タンパク質や脂質などと酵素を介さずに反応する現象です。その過程で最終的に作られるものの一つが、AGEs(終末糖化産物)です。

名前からして、あまり美容には良さそうではありません。そして実際、AGEsは皮膚老化との関係が研究されています。

皮膚には、コラーゲンやエラスチンなど、構造を支えるタンパク質があります。これらが糖化の影響を受けると、タンパク質同士の架橋が増え、硬くなったり、本来の機能を発揮しにくくなったりします。

さらにAGEsが細胞表面の受容体などに作用すると、酸化ストレスや炎症に関係する反応が起こることもあります。

2024年のレビューでも、AGEsが皮膚の機能や老化に関係することが整理されています。

ただし、ここでまた注意です。「甘いものを食べた翌日に顔が糖化する」という話ではありません。

糖化は私たちの身体で普通に起きている反応でもあり、加齢。血糖状態。紫外線。酸化ストレス。食生活。など、さまざまな要因が長い時間をかけて関係します。

だから、「昨日ケーキを食べた。AGEsが……」と鏡を見ながら落ち込む必要はありません。そこまでケーキも仕事が早くありません。

それでも、肌と糖の関係は面白い

高血糖状態が長く続く糖尿病では、AGEsの蓄積が進みやすいことが知られています。

AGEsは皮膚のコラーゲンなどにも蓄積し、弾力性や構造に影響します。

2025年のレビューでも、糖化ストレスは皮膚の色、シワ、弾力、水分量、真皮密度など、さまざまな皮膚老化指標との関連が検討されています。

動物実験では、高糖質食によってAGEs増加や皮膚の細胞外マトリックスの変化が起こったという研究もあります。

もちろん、動物実験をそのまま人間のケーキ一個に置き換えることはできません。それでも、美容を考える時に、外から何を塗るかだけでなく、長期的な糖代謝の状態も無関係ではないということです。

化粧水にはこだわる。日焼け止めも塗る。でも、一日中甘い飲み物を飲んでいる。

若さという一点で考えるなら、一度順番を見直してもいいかもしれません。

月経と砂糖は関係するのか

ここは女性の患者さんからも話題になりやすいところです。「生理前になると甘いものが止まらない」「甘いものを食べるとPMSがひどくなる気がする」という話があります。

まず、生理前に甘いものが欲しくなるという現象自体は珍しくありません。月経周期に伴うホルモン変化によって、食欲や食行動が変化することは研究されています。

ただし、ここから、「砂糖がPMSの原因です」と断定するのは行き過ぎです。PMSや月経痛には、ホルモン。プロスタグランジン。睡眠。心理的要因。運動。喫煙。アルコール。食生活。など、多くの要素が関係します。

食事との関連を示す観察研究はありますが、「砂糖をやめればPMSが治る」とまで言えるほど単純ではありません。

ですから、生理前に甘いものを食べた自分を見て、「私の身体は炎症だらけだ」と責める必要もありません。

むしろ、睡眠が足りているか。食事が不規則になっていないか。空腹時間が長すぎないか。普段から甘いものを習慣的に摂りすぎていないか。そういった生活全体を見た方がいいと思います。

では、砂糖を全部やめるべきなのか

ここまで調べた私の結論は、全部やめなくていい。です。これは少し安心しました。

私が。

ただし、「だから好きなだけ食べていい」という結論でもありません。

大切なのは、甘いものを特別なものとして食べているのか、それとも日常的に無意識で摂り続けているのか。

この違いだと思っています。

美味しいケーキを、「今日はこれを食べる」と決めて楽しむ。それと、仕事中ずっと飴を食べ、甘いコーヒーを飲み、帰宅後にお菓子を食べる。同じ糖でも、生活の中での位置づけが違います。

私は甘いものが好きなので、完全にやめるつもりはありません。むしろ、中途半端なものを毎日食べるくらいなら、本当に食べたいものを、ちゃんと美味しく食べたい。

最近は、そう考えるようにしています。

どうせ砂糖を摂るなら、「あれ、なんとなく食べちゃった」で終わるのは、健康面でも、甘党としても、少々もったいない。

「砂糖をやめる」の本当の意味

今回のタイトルでは、砂糖をやめると書きました。

でも私がやめたいのは、砂糖そのものではありません。

必要もないのに、習慣で摂ってしまう砂糖。です。

喉が渇いたら、甘い飲み物ではなく水やお茶にする。毎日なんとなく食べているお菓子を減らす。成分表示を見てみる。

そして、本当に食べたい甘いものは楽しむ。私は、このくらいが現実的だと思っています。

健康というのは、一度ケーキを断った人だけが入れる秘密結社ではありません。

一日の食事。一週間の食事。そして何年も続く食生活。その積み重ねです。

若く、健康でいたいなら

砂糖について調べると、面白いことが分かりました。

血糖。インスリン。内臓脂肪。慢性的な炎症。AGEs。皮膚。どれも別々の話に見えますが、結局、身体の中ではつながっています。

だから、若く健康でいたいなら、砂糖を「悪者」として怖がる必要はありません。

でも、無関心でいるのも少し違う。私はこれからも甘いものを食べます。

おそらく、かなり高い確率で。

ただ、何となく毎日食べるのと、身体への影響を知った上で選んで食べるのでは、少し違うと思っています。

タバコの章では、「やめる」とかなりはっきり書きました。

砂糖については、「付き合い方を変える」の方がしっくりきます。

若さと健康を取りながら、ケーキも取りたい。少々欲張りですが、その落としどころを考えることこそ、健康管理なのかもしれません。

ABOUT US
koji(トレ​イン治療院 院長)はり・きゅう・あん摩マッサージ指圧師|国際中医専門員
大阪で治療院を開業して12年。 体は、その人の生き方や時間の積み重ねが静かに現れる場所だと感じています。 中医学を土台に、身体だけでなく心や生活の流れまで含めて整えていく。 そんな治療を大切にしています。 ブログでは、臨床の中での気づきや、体と向き合うための小さなヒントを、自分なりの言葉で書き残しています。 読んだ方の毎日が、少しでも軽くなれば嬉しい。
Back to top