知ればもっと使える、毎日のツボ。
鍼灸師・国際中医専門員である筆者が、昔から受け継がれてきたツボの効能・効果、名前の由来、場所、押し方、ちょっと意外な豆知識までわかりやすく紹介します。肩こりや頭痛、疲れ、胃腸の不調など、日々のセルフケアに。毎週ひとつ、あなたの身体に役立つツボを覚えてみませんか?
委中 足の太陽膀胱経のツボ (四総穴・膀胱の下合穴)
腰が痛いとき、普通は腰を揉みたくなりますよね。ところが昔から鍼灸では、「腰背は委中に求む」という有名な言葉があります。つまり、腰や背中の不調には、膝の裏にある委中を使うという考え方です。腰と膝裏。一見すると離れていますが、東洋医学ではこの2つが足太陽膀胱経という経絡でつながっていると考えます。中国中医薬報でも、委中は古くから「四総穴」のひとつとして、腰背部の症状に重視されてきたと紹介されています。
効能・効果
腰痛、背中の痛み、坐骨神経痛、膝の痛み、脚のだるさ、排尿トラブル、腹痛、急な嘔吐や下痢など
1.腰・背中の痛み
腰痛、背中の張り、ぎっくり腰、坐骨神経痛などに古くから使われてきました。
2.膝・脚の症状
膝の痛み、膝裏の張り、脚のだるさや動かしにくさなど、下肢の症状にも用いられます。
3.排尿に関する症状
委中は膀胱の下合穴でもあり、排尿しにくい、遺尿など膀胱に関係する症状にも使われてきました。
4.急な腹痛・吐き下し
意外ですが、腹痛や急な嘔吐・下痢などにも用いられてきたツボです。
名前の由来
「委」は、曲げる・かがめるという意味。「中」は、中央を意味します。委中は、膝を曲げたときにできる膝裏の横じわのちょうど中央にあります。そのため、「膝を曲げたところの中央」という、とても場所そのものを表した名前になっています。
委中の場所
委中は、膝の裏側にあります。膝を少し曲げると、膝裏に横向きのしわができます。その横じわの真ん中が委中です。自分でも比較的見つけやすいツボですが、膝裏には血管や神経が走っているため、強くグリグリ押す必要はありません。
ツボの場所

豆知識|「腰背は委中に求む」
委中を語るうえで外せないのが、「腰背委中求」という言葉です。これは「四総穴歌」という有名な言葉のひとつで、腰や背中の症状には委中を求めよという意味です。なぜ腰から離れた膝裏なのでしょうか。
足太陽膀胱経は、首から背中、腰、お尻、太ももの後ろを通り、膝裏の委中へとつながっていきます。そのため東洋医学では、腰だけを見るのではなく、同じ経絡上にある離れたツボを使うという考え方があります。まさに委中は、鍼灸らしい「遠くのツボで腰を治療する」代表例なんです。
もうひとつ大事なのが「膀胱の下合穴」
委中は、足太陽膀胱経の合穴であると同時に、膀胱の下合穴(げごうけつ)でもあります。下合穴とは、胃・大腸・小腸・胆・膀胱・三焦という「六腑」の働きが、下肢にある特定のツボへ集まると考えたものです。つまり委中は、腰や脚のツボというだけでなく、膀胱そのものとも深く関係するツボということ。
中国中医薬報でも、「合は内腑を治す」という考え方から、委中が小便不利や遺尿などの膀胱系の症状に用いられると説明されています。腰痛で有名なツボなのに、排尿の症状にも使う。ここが委中の面白いところです。さらに古くから、腹痛や急な吐き下し、皮膚のかゆみや蕁麻疹などにも使われてきました。委中は思っている以上に守備範囲の広いツボです。
ツボの押し方
椅子に座り、膝を軽く曲げます。膝裏の横じわの中央に指の腹を当てて、
3〜5秒ほど軽く押す → 力を抜く
これを2〜3回程度繰り返してみてください。
委中は膝裏のデリケートな場所なので、「強く押すほど効く」ツボではありません。痛いほど押し込まず、心地よい程度に刺激するのがポイントです。腰や背中が疲れているときに、腰ではなく、膝の裏を押してみる。
今週はぜひ、自分の膝裏にある「委中」を探してみてください。
セルフケアをしても不調が続くときは
痛みや身体の不調は、症状が出ている場所だけを見れば分かるとは限りません。
トレイン治療院では、鍼灸・マッサージ・整体を組み合わせながら、身体の動きや筋肉の緊張、姿勢、生活習慣なども確認し、その方に合わせて施術しています。
「自分の場合は何が原因なのだろう?」
「セルフケアをしているけれど、なかなか良くならない」
という場合は、お気軽にご相談ください。






