若く、健康でいたいなら。私が気をつけている5つのこと

若く健康でいたいなら、やめた方がいいこと【2/5】
今日のテーマ:お酒

2.お酒をやめる

これは好きな人には、少々耳の痛い話になるかもしれません。

昔から、「酒は百薬の長」と言います。お酒好きにとっては、実にありがたい言葉です。

飲む理由に「健康」が加わるわけですから、これほど都合のいいことはありません。

ただ、今の医学を調べていくと、この言葉をそのまま健康法として採用するのは、かなり難しくなっています。

少なくとも、「健康のために酒を飲んだ方がいい」とは、私は考えません。私自身も、若く健康でいたいという条件を優先するなら、酒はできるだけ飲まない方を選びます。

もちろん、「一滴でも飲んだら不健康」という話をしたいわけではありません。

お酒には、味。食事。人との付き合い。旅行。祝い事。いろいろな楽しみがあります。

人生からそれを全部排除することが、本当にその人にとって幸せかどうかは別問題です。

ただし、身体にとって何が起きているのかを知った上で飲むのと、「適量ならむしろ健康にいい」と思って飲むのとでは、かなり話が違う。

今回はそこを調べてみました。

そもそも、お酒を飲むと身体の中で何が起きるのか

ビールでも、ワインでも、日本酒でも、ウイスキーでも、身体から見れば共通して入ってくるものがあります。

エタノール。

いわゆるアルコールです。

アルコールは体内に入ると、主に肝臓で、

エタノール → アセトアルデヒド → 酢酸

という順番で分解されます。

ここで問題になるのが、アセトアルデヒドです。

二日酔いの話になるとよく登場する物質ですが、単に翌朝つらくなる原因候補というだけではありません。飲酒によって生じるアセトアルデヒドは、DNAを傷つけるなど、発がんに関わる作用を持っています。

IARC(国際がん研究機関)はアルコール飲料をグループ1の発がん物質に分類しています。

これは、「かなり飲んだ人だけ発がん性があります」という意味ではありません。

そもそもアルコール飲料自体について、ヒトで発がん性があることが十分確認されている、という分類です。

ちなみにグループ1にはタバコやアスベストも入っています。こう書くと、「酒とアスベストを同じ危険度と言っているのか」と思われるかもしれませんが、そうではありません。

この分類は危険性が存在する確かさを示すもので、同じ量を摂取した時の危険度が同じという意味ではありません。

ここは結構大事です。

なぜ、お酒でがんのリスクが上がるのか

飲酒との因果関係が確立しているがんには、口腔。咽頭。喉頭。食道。肝臓。大腸・直腸。そして女性の乳がんがあります。

「酒を飲むと肝臓が悪くなる」くらいなら、多くの人が知っています。

でも、乳がんや大腸がんまで関係するということは、意外と知られていないかもしれません。

では、なぜなのでしょう。

一つは先ほどのアセトアルデヒド。

DNAを傷つけたり、DNAの修復を妨げたりして、発がんにつながる可能性があります。

さらにアルコールによる酸化ストレス、ホルモンへの影響、葉酸代謝への影響など、複数の仕組みが関係していると考えられています。女性の乳がんでは、エストロゲン濃度への影響も一つの機序として考えられています。

つまり、「肝臓がアルコールを処理しているから肝臓だけが傷む」というほど単純ではありません。

身体は一つにつながっています。なかなか肝臓だけで話を終わらせてはくれません。

「少しなら身体にいい」は、どうなったのか

ここはかなり気になるところでしょう。昔は、「少量の酒を飲む人の方が、全く飲まない人より長生きする」という研究がよく紹介されました。

いわゆるJカーブです。これを聞いて安心した人も多かったと思います。

私だったら、お酒好きならその研究だけプリントアウトして冷蔵庫に貼っておきたいところです。

ただ、この話には問題があります。「全く飲まない人」の中に、病気になって酒をやめた人や、以前かなり飲んでいた人が含まれていたり、飲酒以外の生活習慣や社会経済的背景が違っていたりすると、単純に、「少量の酒が健康にした」とは言えません。

現在WHOは、少なくともがんリスクについて「ここまでなら安全」という飲酒量を設定することはできないという立場を取っています。

量が増えるほどリスクは高くなりますが、少量だからがんリスクが完全にゼロになるわけではありません。

だから、「健康のために毎日ワインを一杯」という考え方は、少なくとも今の私なら採用しません。

飲むなら、健康のためではなく、好きだから飲む。その方がよほど潔いと思います。

飲むと顔が赤くなる人は、少し話が違う

日本人では、ここも重要です。お酒を飲むと、すぐ顔が真っ赤になる。動悸がする。気分が悪くなる。という人がいます。

これは気合いが足りないからではありません。

アルコールを分解する酵素、ALDH2の働きが遺伝的に弱い人がいるからです。ALDH2は、先ほど出てきたアセトアルデヒドを処理する重要な酵素です。

この働きが弱い人では、飲酒後にアセトアルデヒドがたまりやすくなります。そして、このアルコール代謝に関わる遺伝的な違いは、飲酒に伴う発がんリスクにも影響することが知られています。

だから、「飲んでいれば強くなる」という昭和的な訓練法はおすすめできません。

顔が赤くならなくなったとしても、酵素が鍛えられて強くなったわけではない場合があります。

身体が嫌がっているものを、根性で説得する必要はありません。

美容という意味でも、お酒は少し不利

今回の記事のテーマは、病気だけではなく、若くいたいということです。そこで、お酒と見た目についても調べてみました。

女性を対象にした大規模な横断研究では、週8杯以上の比較的多い飲酒をする人で、上顔面のしわ。目の下のむくみ。口角周囲の変化。中顔面のボリューム低下。血管が目立つこと。などがより多く認められました。(すげぇ研究しとるな)

もちろん、この研究だけで、「酒を飲むと必ず老ける」とは言えません。横断研究なので、飲酒以外の生活習慣も影響します。

ただ、2026年の皮膚老化に関するレビューでも、過度の飲酒は酸化ストレス、炎症、微小血管への影響などを介して、皮膚老化と関連する生活習慣の一つとして整理されています。

美容液を何本も並べながら、毎晩かなり飲む。もちろん本人が幸せなら、それでいいと思います。

ただ、「若く見える」という一点だけを競技種目にするなら、お酒はどうも味方ではなさそうです。

「酒を飲むとむくむ」のは、酒だけのせいなのか

治療院でも、「最近、顔がむくむんです」「朝、身体が重いんです」という話を聞くことがあります。

そこで食生活を聞いてみると、夜はお酒。そして、枝豆。唐揚げ。ポテト。ラーメン。珍味。

……酒の隣には、なぜか塩分が集まりがちです。

お酒自身にも利尿作用や睡眠への影響がありますが、「飲酒した翌日にむくむ」という現象を、全部アルコールだけのせいにするのも少し乱暴です。

飲酒時の食塩摂取。外食。睡眠不足。夜遅い食事。こういったものがセットになっていることも多い。

つまり、お酒という単独犯ではなく、飲酒というイベント全体が共犯関係になっていることがあります。

むくみを気にしながら、毎晩飲んで、塩辛いものを食べて、翌朝、「むくみを取るツボありませんか?」となる。

もちろんツボは探します。仕事ですから。でも、たぶん先に見直す場所は別にあります。

睡眠のための一杯は、少し注意

もう一つ、お酒でよく聞くのが、「飲むとよく眠れる」です。

確かにアルコールには鎮静作用があるので、飲むと寝つきが良くなることがあります。だから、「寝酒」という文化があるわけです。

ただ、寝つきが良いことと、睡眠の質が良いことは同じではありません。アルコールは睡眠の構造に影響し、夜の後半の睡眠を乱したり、途中で目が覚めやすくなったりすることがあります。

また、いびきや睡眠時無呼吸がある人では、飲酒によって悪化する可能性もあります。だから、「酒を飲んだらすぐ寝た=よく眠れた」とは限らない。

意識を早く失うことと、良い睡眠は別物です。ここは結構、混同されやすいところです。

私が気になるのは、「酒そのもの」よりセット商品

そして私自身、お酒について考える時に、アルコールだけを見ないようにしています。

お酒を飲むと、食事の時間が長くなる。塩分の多いものを食べる。夜遅くなる。睡眠時間が短くなる。翌朝の運動をやめる。二日酔いで身体を動かさない。

こういうことまで一緒に起こる場合があります。

つまり、一杯のビールが問題というより、その一杯から始まる生活習慣の連鎖の方が大きい人もいます。

逆に、たまに友人と一杯飲んで、楽しく帰って、翌日は普通に過ごす。

それと、毎晩飲まないと一日が終わらない。では、同じ「飲酒」と言っても意味がかなり違います。

お酒の量だけでなく、自分にとって酒がどういう存在になっているかを見ることも大切だと思います。

では、私は「一滴も飲むな」と言いたいのか

ここまで散々書いておいてなんですが、そういうことではありません。今回のテーマは、若く、健康でいたいなら、私なら何をやめるかです。その条件だけで考えれば、酒を飲まない方が合理的です。

少なくとも、健康上のメリットを得るために飲酒を始める理由はない。そして、飲酒量は少ないほど、アルコールに関連する多くの健康リスクは小さくなります。がん予防という観点でも「飲まない方がよい」というのがIARCの現在の整理です。

でも、人間は健康だけのために生きているわけではありません。

美味しいワインを飲む。旅先で地酒を飲む。友人と乾杯する。そこに価値を感じる人もいる。

私はそれまで医学で取り上げる必要はないと思っています。

大事なのは、「身体にいいから飲む」のではなく、「多少のリスクはあるけれど、それでも私はこれを楽しみたい」と自分で選ぶこと。です。

酒は百薬の長なのか。今の医学から見ると、私はそこまで期待しない方がいいと思います。

でも、人生の潤滑油になることは、たぶんあるのでしょう。

健康には必須ではありません。

人生には、ときどき必要な人がいる。

私は、そのくらいの距離感がお酒にはちょうどいいと思っています。

ABOUT US
koji(トレ​イン治療院 院長)はり・きゅう・あん摩マッサージ指圧師|国際中医専門員
大阪で治療院を開業して12年。 体は、その人の生き方や時間の積み重ねが静かに現れる場所だと感じています。 中医学を土台に、身体だけでなく心や生活の流れまで含めて整えていく。 そんな治療を大切にしています。 ブログでは、臨床の中での気づきや、体と向き合うための小さなヒントを、自分なりの言葉で書き残しています。 読んだ方の毎日が、少しでも軽くなれば嬉しい。
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