問題 麻黄湯の臣薬を答えよ。
1.麻黄
2.芍薬
3.桂枝
4.杏仁
回答→ 3
【解説】
麻黄湯の構成生薬は麻黄・桂枝・杏仁・炙甘草である。辛温解表薬で、風寒表実証に属する病証に用いる。
問題 患者、悪寒発熱、頭痛、無汗で喘、舌苔薄白、脈浮緊がみられる。選ぶべき方剤はどれか。
1.麻黄湯
2.香蘇散
3.九味羌活湯
4.柴葛解肌湯
回答→ 1
【解説】
1.麻黄湯→ 風寒表実証
2.香蘇散→ 表寒の軽症(強さ順 加味香蘇散ー香蘇葱豉湯ー香蘇散)
3.九味羌活湯→ 外感風寒湿邪
4.柴葛解肌湯→ 風寒襲表、邪鬱化火
問題 桂枝湯の構成生薬を答えよ。
回答→ 桂枝、芍薬、大棗、生姜、炙甘草
【解説】
桂枝湯は、風寒表虚証に属する病証に用いる。
問題 桂枝湯の中で、営衛を調和する役割の配合はどれか。
1.桂枝・生姜
2.桂枝・芍薬
3.大棗・甘草
4.芍薬・甘草
回答→ 2
【解説】
桂枝湯の効能は解肌発表、調和営衛で、桂枝で衛強を治し、芍薬は営弱を治す(営衛不和を治す)。風寒が肌表を犯し腠理不固で衛気が漏れ、さらに営陰が漏れることを衛強営弱という。衛強営弱とは衛気外泄+営陰不守のことである。
問題 桂枝湯を服用したあとに、薄めの粥を飲むと良いとされる理由はどれか。
1.中焦守り、胃が傷つくのを防ぐ。
2.発汗に有利となり、ふたたび外邪が侵襲するのを防ぐ。
3.汗出で陰が傷つくのを防ぐ。
4.汗出で陽が傷つくのを防ぐ。.
回答→ 2
【解説】
桂枝湯を服用したあとに、薄めの粥を飲むのは、水穀の精気を利用して中焦を補い、それによって発汗に有利に働くだけでなく、外邪を直ちに除き、再び侵襲させないためである。
問題 小青竜湯の臣薬はどれか。
1.麻黄・桂枝
2.芍薬・半夏
3.細辛・乾姜
4.細辛・五味子
回答→ 3
【解説】
小青竜湯の効能は解表懸飲(けんいん)・止咳平喘で主に外感内飲証の治療薬である。
構成生薬は、
君薬:麻黄・桂枝
臣薬:細辛・乾姜
佐薬:五味子・芍薬・半夏
使薬:炙甘草
となる。
※臣薬の細辛と乾姜の意味は温肺化飲のためである(相須配伍というわけ)。
問題 九味羌活湯の構成生薬でないのはどれか。
1.防風・川芎
2.当帰・陳皮
3.蒼朮・細辛
4.白芷・生地
回答→ 2
【解説】
九味羌活湯の効能は発汗袪湿・兼清裏熱で、外感風寒湿邪の治療薬である。
構成生薬は、
君薬:羌活
臣薬:防風・蒼朮
佐薬:細辛・川芎・白芷・黄芩・生地黄
使薬:甘草
となる。
問題 銀翹散の臣薬はどれか。
1.荊芥穂・豆豉
2.桔梗・竹葉
3.金銀花・連翹
4.牛蒡子・桔梗
回答→ 1
【解説】
銀翹散の効能は辛涼透表・清熱解毒である。
温熱初期で、邪気が肺衛を犯し、邪が咽喉にあり、肺の清粛が失職した病証に用いる。
臣薬である淡豉と荊芥穂の配合意義は、肺衛の温邪を散じる力が強い両者を用いて、君薬の散邪を助ける(辛散透邪)ためである。
銀翹散
君薬:金銀花・連翹
臣薬:牛蒡子・薄荷・豆豉・荊芥穂
佐使薬:桔梗・竹葉・甘草・芦根
問題 麻杏甘石湯の効能はどれか。
1.辛涼透表・清熱解毒
2.疏風清熱・宣肺止咳
3.解肌透表
4.辛涼宣泄・清肺平喘
回答→ 4
【解説】
麻杏甘石湯の効能は辛涼宣泄・清肺平喘である。
傷寒論の方剤で、表邪未解・肺熱咳嗽の治療に用いる。
麻杏甘石湯
君薬:麻黄
臣薬:石膏
佐薬:杏仁
使薬:炙甘草
1.辛涼透表・清熱解毒ー銀翹散
2.疏風清熱・宣肺止咳ー桑菊飲
3.解肌透表ー升麻葛根湯
4.辛涼宣泄・清肺平喘ー麻杏甘石湯
問題 升麻葛根湯の構成生薬はどれか。
1.芍薬
2.桔梗
3.牛蒡子
4.知母
回答→ 1
【解説】
升麻葛根湯の効能は解肌透表である。
肺胃に鬱熱があり、表に時行の邪気がある麻疹の初期の治療に用いる。
升麻葛根湯
君薬:升麻ー解毒透疹
臣薬:葛根ー熱を除く
佐薬:芍薬・甘草ー養陰和中
問題 患児、微熱、咳嗽、 精神不振が2〜3日。その後に頭面から胸部に皮疹がぼんやりと出現し、心熱悪風、目赤羞明、涙が溢れる、口渇、舌紅、脈数。選ぶべき方剤はどれか。
1.桑菊飲
2.柴葛解肌湯
3.升麻葛根湯
4.加減葳蕤湯
回答→ 4
【解説】
患児は麻疹の初期であると考えられるので、升麻葛根湯が最も適切といえる。
麻疹の特徴
・発病前に咳、くしゃみ、無職透明な鼻水、涙、耳が冷たい、耳背に赤い絡脈などの前兆。
・発熱して3〜4日後に疹が皮膚に現れる。
・麻疹は頭面から胸腹、四肢の順に出る。
・児童に多い
※麻疹には順証と逆証がある。逆証は疹毒内陥の証候である。
問題 柴葛解肌湯の構成生薬はどれか。
1.荊芥・白芷・黄芩・芍薬
2.白芷・防風・羌活・芍薬
3.桂枝・羌活・白芷・黄芩
4.羌活・白芷・黄芩・芍薬
回答→ 4
【解説】
柴葛解肌湯の効能は解肌清熱である。
風寒襲表・邪鬱化熱(寒鬱化火)の病証を治療する。風寒による邪であれば辛温解表薬を用いるが、寒鬱によって熱火しているので辛涼解表薬を用いる。
柴葛解肌湯
君薬:柴胡・葛根ー表邪を散じ、鬱熱除去
臣薬:白芷・羌活ー白芷は陽明経の、羌活は太陽経の風寒発散に優れる。
佐薬:黄芩・石膏・桔梗・生姜・芍薬
使薬:甘草・葛根・大棗
問題 患者、頭痛身熱、微悪風寒、無汗、咳嗽、心煩、口渇、咽干、舌紅、脈数。選ぶべき方剤はどれか。
1.升麻葛根湯
2.加減葳蕤湯
3.柴葛解肌湯
4.桑菊飲
回答→ 2
【解説】
頭痛身熱、微悪風寒は風熱表証の症状で、併せて心煩、口渇、咽干、舌紅、脈数は陰虚の症状であり、患者は陰虚(素体)+表熱証のである。よって滋陰清熱・発汗解表の効能を持つ加減葳蕤湯が最も適切と言える。
加減葳蕤湯
君薬:葳蕤
臣薬:葱白、淡豆豉、薄荷、桔梗
佐薬:白薇、大棗
使薬:甘草
1.升麻葛根湯(辛涼解表剤)ー麻疹の初期に用いる
2.加減葳蕤湯(扶正解表剤)ー陰虚+表熱証の者に用いる。
3.柴葛解肌湯(辛涼解表剤)ー風寒の邪が化熱の病証に用いる。
4.桑菊飲(辛涼解表剤)ー風温初期、風熱犯肺に用いる。
問題 患者、憎寒壮熱、頭痛強項、四肢痠痛、無汗、鼻塞声重、咳嗽有痰、胸隔痞満、舌苔白膩、脈浮濡。選ぶべき方剤はどれか。
1.敗毒散
2.加減葳蕤湯
3.葱白七味飲
4.桑菊飲
5.再造飲
回答→ 1
【解説】
憎寒壮熱が怒るのは正虚であるものが邪気を外へ除くことができず正邪が肌表で闘争している現れである。鼻塞声重、咳嗽有痰、胸隔痞満は風寒湿が肺を犯した結果、頭痛強項、四肢痠痛、無汗は風寒湿が肌表で陽気を阻滞した結果である。また脈浮濡は風寒が湿を挟む現れである。よって散寒袪湿+益気解表の効能がある敗毒散が適切といえる。
敗毒散
君薬:羌活、独活
臣薬:川芎、柴胡
佐薬:枳穀、桔梗、前胡、茯苓、人参
使薬:甘草、生姜、薄荷
※人参の意味
①扶正により君臣薬の発散袪邪を強める
②発散薬による正気損傷を防ぐ
③邪気の再侵入を防ぐ
1.敗毒散ー正気不足+風寒湿邪
2.加減葳蕤湯ー陰虚+表熱証い用いる
3.葱白七味飲ー陰血不足+風寒感冒に用いる
4.桑菊飲ー風温初期、風熱犯肺に用いる
5.再造飲ー陽気の虚弱+外感風寒に用いる
※痠痛(酸痛)ーだるい痛み。虚証や湿証で現れる。
※憎寒ー振戦と煩熱のある状態。
※壮熱ー高熱
問題 小青竜湯の温肺散寒化飲の効能を持つ組み合わせはどれか。
1.麻黄 桂枝
2.桂枝 細辛
3.細辛 麻黄
4.乾姜 半夏
5.細辛 乾姜
回答→5
【解説】
小青竜湯(辛温解表剤)
君薬:麻黄 桂枝
臣薬:乾姜 細辛
佐薬:半夏 五味子 芍薬
使薬:炙甘草
問題 麻黄附子細辛湯の適用はどれか。
1.衛気不固・風寒外襲の者
2.素体陽虚・感冒風寒の者
3.陰血虧虚・感受外邪の者
4.素体陰虚・外感風熱の者
回答→2
【解説】
麻黄附子細辛湯は再造飲の附方である。効能は助陽解表である。
麻黄附子細辛湯ー麻黄・附子・細辛
問題 小青竜湯の発汗散寒解表の効能を持つ組み合わせはどれか。
1.麻黄 桂枝
2.桂枝 細辛
3.細辛 麻黄
4.乾姜 半夏
5.細辛 乾姜
回答→1
【解説】
小青竜湯は、主に外感風寒による表証と、内停水飲が同時に存在する病態、特に水様性鼻水や喘鳴を伴う咳に用いられる。
その効能は、解表散寒と温肺化飲で、小青竜湯において、最も強力に発汗散寒解表の効能を担う組み合わせは、麻黄と桂枝である。
小青竜湯(辛温解表剤)
君薬:麻黄 桂枝
臣薬:乾姜 細辛
佐薬:半夏 五味子 芍薬
使薬:炙甘草
問題 解肌清熱を主な効能とする方剤はどれか。
1.香蘇散
2.桂枝湯
3.加減葳蕤湯
4.柴葛解肌湯
5.升麻葛根湯
回答→4
【解説】
柴葛解肌湯は、外感風寒の邪気が体内に侵入し、熱邪に転じて半表半裏に停滞した病態を治療します。
【解肌清熱】
清熱:黄芩や石膏で、体内の熱邪を清まします。
解肌:葛根や柴胡で、体表や筋肉にこもった邪気を解き放ちます。
1.香蘇散ー疎風散寒、理気和中
2.桂枝湯ー解肌発表、調和営衛
3.加減葳蕤湯ー滋陰解表
5.升麻葛根湯ー解肌清熱
問題 解肌透疹を主な効能とする方剤はどれか。
1.香蘇散
2.桂枝湯
3.加減葳蕤湯
4.柴葛解肌湯
5.升麻葛根湯
回答→5
【解説】
升麻葛根湯は主に、麻疹(はしか)の初期段階で、発疹を促すことを目的として用いられます。
解肌:葛根や升麻といった生薬で、体表や筋肉にこもった邪気を解き放ちます。
透疹:邪気を体外に発散させることで、体内にこもった熱邪が原因で生じる発疹をスムーズに出させます。麻疹では、発疹がスムーズに出ないと合併症を引き起こすリスクがあるため、この透疹作用が非常に重要です。
問題 敗毒散の効能はどれか。
1.散寒袪湿 益気解表
2.解肌発表 透疹解毒
3.疏風散寒 益気解表
4.益気解表 理気化痰
5.袪風散寒 扶正解表
回答→1(5でもいいかなー)
【解説】
敗毒散は主に、体力が虚弱な人が風寒湿の邪気に侵された感冒を治療する。
問題 参蘇飲の効能はどれか。
1.散寒袪湿 益気解表
2.解肌発表 透疹解毒
3.疏風散寒 益気解表
4.益気解表 理気化痰
5.袪風散寒 扶正解表
回答→4
【解説】
参蘇飲は痰湿停滞を伴う風寒感冒の老幼体弱の人の治療に適す。
問題 滋陰解表の代表方剤はどれか。
1.参蘇飲
2.敗毒散
3.桂枝湯
4.加減葳蕤湯
5.麻黄附子細辛湯
回答→4
【解説】
1.参蘇飲
益気解表を主とするが、痰湿を伴う外感に用いられることが多く、助陽の作用は強くない。
2.敗毒散
益気解表、散風袪湿の効能を持ち、気虚で外感風寒湿邪に罹患した場合に用いるが、助陽の作用は主ではない。
3.桂枝湯
解肌発汗、調和営衛の代表方剤で、体表の寒邪を穏やかに発散させる。温陽の作用はあるが、陽気を「助ける」というよりは、陽気の巡りを助けるイメージ。陽虚に特化した助陽解表ではない。
4.加減葳蕤湯
滋陰解表の代表方剤で、陰虚の人が外感にかかった場合に用いられる。助陽とは逆の作用である。
5.麻黄附子細辛湯
助陽解表の最も代表的な方剤。
問題 桂枝湯に炙甘草が配合される意味はどれか。
1.益気補虚
2.扶正袪邪
3.緩竣護正
4.化痰止咳
5.調和諸薬
回答→2
【解説】
炙甘草は、単に調和作用だけでなく、脾胃の気を補い、正気を扶助するという明確な作用を持つ。桂枝湯が風寒の邪気を表から発散させる際、適度な発汗は正気を消耗させる可能性があり、炙甘草は、脾気を補うことで、この正気の消耗を防ぎ、邪気を排出する力を助ける。
したがって、炙甘草が正気を扶助することで、桂枝湯全体の「扶正(正気を助ける)と袪邪(邪気を取り除く)のバランス」を保ち、薬の穏やかな発汗作用を支えるという意味で、「扶正袪邪」という表現が最も適切であるとされます。これは、単なる「調和諸薬」よりも、より深い治療の目的を示す。
問題 麻黄湯に炙甘草が配合される意味はどれか。
1.益気補虚
2.扶正袪邪
3.緩竣護正
4.化痰止咳
5.調和諸薬
回答→3
【解説】
麻黄湯は強力な発汗作用を持つため、その作用が過度になり、正気を損傷するリスクがある。炙甘草は、この峻烈な発汗作用を緩和し、正気を保護する役割を担う。
※緩峻(かんしゅん): 薬の作用が強いこと(峻烈)を緩和すること。
※護正(ごせい): 正気(体の抵抗力、体力)を保護すること。
問題 助陽解表の代表方剤はどれか。
1.参蘇飲
2.敗毒散
3.桂枝湯
4.加減葳蕤湯
5.麻黄附子細辛湯
回答→5
【解説】
助陽解表とは、陽気を助けながら、体表の邪気を取り除く方法を指す。これは、体質的に陽虚の人が外感にかかり、寒邪が体表に強く停滞している場合に用いられる。単に発汗させるだけでなく、体の温める力を補いながら邪気を発散させる点が特徴。
1.参蘇飲
益気解表を主とするが、痰湿を伴う外感に用いられることが多く、助陽の作用は強くない。
2.敗毒散
益気解表、散風袪湿の効能を持ち、気虚で外感風寒湿邪に罹患した場合に用いるが、助陽の作用は主ではない。
3.桂枝湯
解肌発汗、調和営衛の代表方剤で、体表の寒邪を穏やかに発散させる。温陽の作用はあるが、陽気を「助ける」というよりは、陽気の巡りを助けるイメージ。陽虚に特化した助陽解表ではない。
4.加減葳蕤湯
滋陰解表の代表方剤で、陰虚の人が外感にかかった場合に用いられる。助陽とは逆の作用である。
問題 散寒解表だけでなく、温肺化飲もできる方剤はどれか。
1.定喘湯
2.止嗽散
3.小青竜湯
4.苓桂朮甘湯
5.苓甘五味生辛湯
回答→3
【解説】
1.定喘湯(降気剤)ー主に肺熱による喘息に用いられる。
2.止嗽散(治風化痰剤)ー止嗽散は急性期の咳から慢性期の咳まで、幅広いタイプの咳に応用されることがある。
3.小青竜湯(辛温解表剤)ー散寒解表と温肺化飲を兼ね備える代表的な方剤。
4.苓桂朮甘湯(温化水湿剤)ー健脾利水を主とする方剤で、脾胃の陽気不足による痰飲の停滞に用いられる。
5.苓甘五味生辛湯ー(温化寒痰剤)ー苓桂朮甘湯に五味子と細辛を加えたもので、温肺化飲の作用はありますが、主に肺寒による喘息や咳に用いられ、体表の寒邪を発散する解表作用は小青竜湯ほど強くない。
問題 温肺化飲を主な効能とする方剤はどれか。
1.定喘湯
2.止嗽散
3.小青竜湯
4.苓桂朮甘湯
5.苓甘五味生辛湯
回答→5
【解説】
1.定喘湯(降気剤)ー主に肺熱による喘息に用いられる。
2.止嗽散(治風化痰剤)ー止嗽散は急性期の咳から慢性期の咳まで、幅広いタイプの咳に応用されることがある。
3.小青竜湯(辛温解表剤)ー散寒解表と温肺化飲を兼ね備える代表的な方剤。
4.苓桂朮甘湯(温化水湿剤)ー健脾利水を主とする方剤で、脾胃の陽気不足による痰飲の停滞に用いられる。
5.苓甘五味生辛湯ー(温化寒痰剤)ー温肺化飲を主な効能とする。肺の寒邪と痰飲による咳や喘息、多量の稀薄な痰に特化している。生姜や細辛が肺を温め、茯苓が痰飲を排出し、五味子が咳を鎮める。小青竜湯よりも、より内なる肺の寒飲に焦点を当てた方剤である。
問題 銀翹散の効能はどれか。
1.解表化湿 理気和中
2.袪暑解表 清熱化湿
3.疏風清熱 宣肺止咳
4.辛涼透表 清熱解毒
5.発汗解表 散風袪湿
回答→ 4
【解説】
銀翹散は、温病の初期、特に風熱が体表に侵入した病態を治療する方剤である。
問題 藿香正気散の効能はどれか。
1.解表化湿 理気和中
2.袪暑解表 清熱化湿
3.疏風清熱 宣肺止咳
4.辛涼透表 清熱解毒
5.発汗解表 散風袪湿
回答→ 1
問題 升麻、柴胡を同時に用いる方剤はどれか。
1.九味羌活湯
2.清胃散
3.補中益気湯
4.敗毒散
5.蒿芩清胆湯
回答→ 3
【解説】
升麻と柴胡は、両方とも升陽の作用、つまり気の力を上向きに高める働きを持つ生薬。中医学では、気が不足して臓器が下垂する中気下陥の病態がある。
補中益気湯は、脾胃の気が虚弱になり、気が下垂する「中気下陥」の病態を治療する代表的な方剤である。升麻と柴胡を組み合わせることで、気を上向きに持ち上げる(升陽)作用を強化し、臓器の下垂(脱肛、胃下垂など)や倦怠感、発熱などの症状を改善する。
問題 羌活、独活を同時に用いる方剤はどれか。
1.九味羌活湯
2.清胃散
3.補中益気湯
4.敗毒散
5.蒿芩清胆湯
回答→ 4
【解説】
羌活と独活は、両方とも袪風除湿、散寒止痛の効能を持つ生薬である。
敗毒散は、体力が虚弱な人が風寒湿邪に侵された病態を治療する方剤で、羌活と独活を同時に用いることで、体の上下両方の邪気を取り除く作用を強化し、全身の痛みや発熱、悪寒などの症状を改善する。
問題 細辛、白芷を同時に用いる方剤はどれか。
1.九味羌活湯
2.小青竜湯
3.半夏瀉心湯
4.敗毒散
5.清燥救肺湯
回答→ 1
【解説】
九味羌活湯は主に、風寒湿邪が体表に侵入し、悪寒、発熱、全身の痛みなどを引き起こした病態を治療する。
問題 生地、川芎を同時に用いる方剤はどれか。
1.九味羌活湯
2.小青竜湯
3.半夏瀉心湯
4.敗毒散
5.清燥救肺湯
回答→ 1
問題 患者、頭痛身熱、微悪風寒、無汗、咳嗽、心煩口渇、咽乾、舌紅脈数。この治療で選ぶべき方剤はどれか?
1.桑菊飲
2.銀翹散
3.柴葛解肌湯
4.加減葳蕤湯
5.升麻葛根湯
回答→ 4
【解説】
の症例は、一般的な風邪とは異なり、体内の陰液が不足している状態に、外邪(風邪や熱邪)が侵入した陰虚感冒という病態です。
1.桑菊飲
風熱犯肺の風熱感冒を治療します。症状は、発熱、微悪風寒、頭痛、咳、口渇などで、比較的軽症の風熱に用いられます。
2.銀翹散
温熱が咽喉に盛んに集まっている風熱感冒を治療します。桑菊飲よりも熱が強く、特に喉の腫れや痛みが顕著な場合に適しています。
3.柴葛解肌湯
風寒が体表にこもり、内側で熱に転化している病態を治療します。発熱や悪寒が強く、筋肉痛などを伴うことが多いです。
4.加減葳蕤湯
陰虚を伴う感冒、つまりこの問題の症例に最も適した方剤です。陰を補うことで虚熱を冷まし、同時に外邪を払う作用があります。
5.升麻葛根湯
麻疹の初期症状を治療する際に用いられます。発疹を促す作用があります。
問題 患者、憎寒壮熱、頭痛無汗、肢体痠痛、咳嗽咯痰、苔白膩、脈は浮で重く取ると無力。この治療で選ぶべき方剤はどれか?
1.二陳湯
2.九味羌活湯
3.小柴胡湯
4.清気化痰丸
5.敗毒散
回答→ 5
【解説】
この症例は、一見すると一般的な風寒感冒のように見えますが、その背景には正気の不足、つまり体力の低下があります。これを虚人感冒と呼びます。
・風寒の症状→ 憎寒壮熱、頭痛無汗、肢体痠痛
・湿邪の症状→ 苔白膩
・虚弱な体質→ 脈は浮で重く取ると無力
表面(浮)では脈があるように感じられますが、深く押すと弱く力がない(無力)状態です。これは、正気(体力)が不足していることを反映しています。
これらの症状を総合すると、正気が不足している体に、風寒邪と湿邪が同時に侵入した病態と判断できます。敗毒散は、このような虚弱体質に起因する感冒を治療するのに最も適した方剤です。
1.二陳湯
痰湿を治療する基本方剤であり、体表に邪気がある表証には使用しません。
2.九味羌活湯
風寒湿邪が体表にあり、内部に鬱熱がある病態を治療します。体質が比較的丈夫な人に適しています。
3.小柴胡湯
邪気が体表と体内の中間にある「半表半裏」の病態を治療するため、表証には不向きです。
4.清気化痰丸
痰熱が原因の咳や痰を治療する方剤であり、表証には使用しません。
5.敗毒散
独活や羌活を主薬とし、風寒湿邪を払うと同時に、人参が配合されているため、正気を補いながら邪気を除くことができます。この問題の症例に最も合致します。
問題 患者、悪寒発熱、頭痛無汗、胸脘痞悶、食欲がない、苔薄白、脈浮。この治療で選ぶべき方剤はどれか?
1.桑菊飲
2.香蘇散
3.敗毒散
4.升麻葛根湯
5.柴葛解肌湯
回答→ 2
【解説】
この症例は、風寒の邪気(風邪)が体表に侵入しただけでなく、気滞という気の巡りが滞った病態を伴っているのが特徴です。
・外感風寒の症状→ 悪寒発熱、頭痛無汗、苔薄白、脈浮
・気滞の症状→ 胸脘痞悶、食欲がない
これは、風寒邪が気の巡りを阻害し、胸や胃のあたりが張って苦しく、食欲不振を引き起こしていることを示しています。
香蘇散は、風寒の邪気を体表から発散させる「解表」の働きと、滞った気の巡りを改善する「行気」の働きを併せ持つため、この二つの病態を同時に治療するのに最適です。
1.桑菊飲
風熱による感冒に用いる方剤です。咳や脈が速い(脈数)などの症状が中心となり、無汗はあまり見られません。
3.敗毒散
風寒湿邪が侵入し、かつ体力(正気)が不足している場合の感冒に用います。舌苔が白く分厚くべっとり(白膩)しているのが特徴です。
4.升麻葛根湯
麻疹の初期に用いる方剤で、発疹を促す目的があります。
5.柴葛解肌湯
風寒が内側で熱に転じた病態に用います。鼻の乾燥や不眠、目の周りの痛みなどを伴います。
問題 下記の項目で、桑菊飲の構成生薬はどれか?
1.杏仁 連翹 薄荷 葛根 甘草 芦根
2.杏仁 連翹 薄荷 桔梗 甘草 芦根
3.銀花 連翹 葛根 薄荷 桔梗 甘草
4.銀花 連翹 薄荷 桔梗 甘草 芦根
5.杏仁 連翹 葛根 薄荷 桔梗 甘草
回答→ 2
【解説】
桑菊飲は、風熱が肺に侵入したことによる風熱感冒の初期を治療する方剤です。主な働きは、風熱を体から発散させ(疏散風熱)、肺の気を巡らせて咳を鎮める(宣肺止咳)ことです。
問題 患者、悪寒発熱、無汗頭痛、肢体疼痛、喘咳、薄白苔、浮緊脈である。治療で選ぶべき方剤はどれか?
1.麻黄湯
2.香蘇散
3.小青竜湯
4.九味羌活湯
5.柴葛解肌湯
回答→ 1
【解説】
この症例は、風邪(風寒の邪気)が体表を強く襲っている「風寒表実証」という病態に該当します。
1.麻黄湯
風寒表証の重症例を治療します。発汗作用が強く、悪寒、発熱、無汗、頭痛、身体の痛みなどが顕著な場合に用いられます。
2.香蘇散
風寒表証の軽症例に用いられます。胸脘痞悶や食欲不振などの気滞の症状を伴うのが特徴です。
3.小青竜湯
寒邪が内部に侵入し、水液代謝が滞って痰飲が停滞している病態に用います。水のような痰が多い咳や喘息が主な症状です。
4.九味羌活湯
風寒湿の邪気が同時に侵入し、体表にこもった熱が内部にある場合に用います。口が渇いたり、苦く感じたりする症状を伴います。
5.柴葛解肌湯
風寒が内側で熱に転化した病態に用います。鼻の乾燥や心煩不眠、目の周りの痛みなどが特徴です。
問題 風寒湿邪を感受し、悪寒発熱、頭痛、肌表無汗、肢体が酸楚で疼痛、口苦かつ口渇の症状が現れる。治療で選ぶべき方剤はどれか?
1.参蘇飲
2.敗毒散
3.桂枝湯
4.小青竜湯
5.九味羌活湯
回答→ 5
【解説】
この症例は、複数の病態が組み合わさった複雑なものです。
・表の風寒湿
「悪寒発熱、肌表無汗、肢体が酸楚で疼痛」という症状は、風寒湿の邪気が体表に侵入し、経絡の流れを阻害していることを示します。特に「肢体の酸楚」は湿邪の存在を強く示唆します。
・裏の鬱熱
「口苦かつ口渇」という症状は、邪気が体内にこもり、熱に転じていることを示します。これを裏の鬱熱と呼びます。
この病態は、体表に風寒湿の邪気があり、同時に体内に熱がこもっている状態です。九味羌活湯は、このような複合的な病態を治療するのに最も適しています。
問題 患者、頭痛発熱、汗が出てもすっきりしない、微悪風寒、口渇、咳嗽、咽痛、舌尖紅、苔薄白、脈浮数。治療で選ぶべき方剤はどれか?
1.桑菊飲
2.銀翹散
3.止嗽散
4.升麻葛根湯
5.加減葳蕤湯
回答→ 2
【解説】
1.桑菊飲
銀翹散と同じく風熱感冒に用いられますが、主に風熱が肺に侵入した初期に適しています。咳が主な症状で、銀翹散よりも比較的軽症の風熱に用いられます。
3.止嗽散
風邪が原因で肺に邪気がこもり、咳が主症状となっている場合に用いる方剤です。
4.升麻葛根湯
主に麻疹の初期に用いられ、発疹を促す目的があります。
5.加減葳蕤湯
体質的な陰虚を伴う風熱感冒に用います。
問題 麻黄杏仁甘草石膏湯の効能はどれか?
1.潤肺清熱 理気化痰
2.止咳化痰 疏表宣肺
3.清熱化痰 理気止咳
4.辛涼宣泄 清肺平喘
5.清熱化痰 寛胸散結
回答→ 4
【解説】
麻黄杏仁甘草石膏湯(通称:麻杏甘石湯)は、主に熱邪が肺にこもり、呼吸困難や喘息を引き起こしている病態を治療します。その効能は、辛温の性質を持つ麻黄と、辛甘大寒の性質を持つ石膏の絶妙な配合によって生み出されています。
この方剤の最大の特徴は、石膏が麻黄の3倍以上多く配合される点です。
この配合の目的は、麻黄の強い温性を石膏の強力な冷やす作用で抑えつつ、麻黄が持つ宣散の働きだけを温存することにあります。これにより、熱を冷ましながら(辛涼)、体表の邪気を発散させる(宣泄)という、独自の薬効が発揮されます。この作用によって、肺の熱が取り除かれ(清肺)、喘息や呼吸困難が改善されます(平喘)。
問題 敗毒散中に配伍される少量の人参の主な意味はどれか?
1.益気生津を以て汗源を養う
2.補脾益肺 培土生金
3.大補肺脾を以て正気を回復する
4.扶助正気 鼓邪外出
5.祛邪しても正気を傷つけない
回答→ 4
【解説】
1.益気生津を以て汗源を養うー竹葉石膏湯に人参を配合する意味
2.補脾益肺 培土生金ー参苓白朮散に人参を配合する意味
3.大補肺脾を以て正気を回復するー人参蛤蚧散に人参を配合する意味
5.祛邪しても正気を傷つけないー参蘇飲に人参を配合する意味
ポイント
敗毒散と参蘇飲はどちらも虚人感冒に用いられますが、その違いを理解することが重要です。
・敗毒散: 風寒湿の邪気がメインで、正気を補うことで邪気を外へ押し出すことを目的とします。
・参蘇飲: 外感風寒に加え、痰や気の滞りがある場合に適しており、正気を傷つけずに邪気を取り除くことを目的とします。
問題 桂枝湯の中で、調和営衛の効能を有する配伍はどれか?
1.桂枝 生姜
2.桂枝 芍薬
3.大棗 甘草
4.生姜 甘草
5.芍薬 大棗
回答→ 2
問題 患児、微熱、咳嗽、精神不振が2~3日。その後に頭面から胸部に皮疹がぼんやりと出現し、身熱悪風、目赤羞明、涙があふれる、口渇、舌紅、脈数。治療で選ぶべき方剤はどれか?
1.桑菊飲
2.銀翹散
3.柴葛解肌湯
4.升麻葛根湯
5.加減葳蕤湯
回答→ 4
【解説】
1.桑菊飲
風熱が肺と体表を侵襲する風熱感冒に用いる方剤で、咳が主な症状です。
2.銀翹散
風熱が肺と体表を侵襲し、特に咽喉の熱が盛んな風熱感冒に用いる方剤です。
3.柴葛解肌湯
風寒が体表にこもり、それが熱に転化した感冒に用います。
5.加減葳蕤湯
陰虚(体内の潤い不足)を伴う風熱表証を治療する方剤です。
問題 元来より気虚で内に痰飲があり、外感風寒により、悪寒発熱、無汗、頭痛鼻塞、咳嗽痰白、胸膈満悶、倦怠無力、気短懶言、苔白、脈弱の症状が現れる。治療で選ぶべき方剤はどれか?
1.参蘇飲
2.敗毒散
3.桂枝湯
4.小青竜湯
5.九味羌活湯
回答→ 1
【解説】
気虚と痰飲を伴う外感風寒
・風寒表証: 悪寒発熱、無汗、頭痛、鼻塞は、体表に風寒の邪気が侵入した典型的な症状です。
・裏の痰飲: 咳嗽、痰白、胸膈満悶は、肺に痰飲(体内の水分の滞り)がある状態を示しています。
・気虚: 倦怠無力、気短懶言(息切れや話すのが面倒になる)、脈弱は、元々体力(気)が不足していることを反映しています。
このように、この患者は体質的な気虚と痰飲に、外からの風寒が加わった病態に陥っていると判断できます。参蘇飲は、これらの病態を同時に治療するのに適した方剤です。
参蘇飲の構成生薬と働き
生薬名 | 役割 | 具体的な働きと関連症状 |
---|---|---|
気虚の治療 | ||
人参、大棗 | 益気補虚 | 気虚を治療し、正気(抵抗力)を補うことで、病気への抵抗力を高めます。 |
風寒の治療 | ||
紫蘇葉、葛根、前胡 | 解表散寒 | 体表に侵入した風寒の邪気を取り除き、悪寒や発熱、頭痛などの症状を和らげます。 |
痰飲の治療 | ||
半夏、陳皮、茯苓、甘草 | 袪痰化湿 | 体内の痰飲(水分の滞り)を取り除き、咳や痰白、胸のつかえなどを改善します。これらの生薬は、二陳湯の主要な構成です。 |
肺の機能調整 | ||
桔梗 | 宣肺止咳 | 肺の気を巡らせる「宣発」の働きを助け、咳を止め、痰の排出を促します。 |
枳実、木香 | 理気 | 気の巡りをスムーズにし、痰の除去や肺の宣発をサポートします。 |
2.敗毒散
正気不足を伴いますが、主に風寒湿邪に侵された場合に適しています。
3.桂枝湯
汗が出る「風寒表虚証」の治療に用いるため、無汗のこの症例には適しません。
4.小青竜湯
外からの寒邪と体内の痰飲を同時に治療しますが、この症例のような顕著な「気虚」の症状は通常見られません。
5.九味羌活湯
風寒湿の邪気が体表にあり、裏に熱がこもっている場合に適しています。
問題 九味羌活湯に蒼朮が配伍される意味はどれか?
1.燥湿健脾
2.発汗祛湿
3.燥湿消積
4.滲湿健脾
5.補気健脾
回答→ 2
問題 銀翹散に荊芥穂と豆豉を配伍する目的はどれか?
1.宣鬱発表 疏風泄熱
2.解鬱除煩 疏散風熱
3.辛散透邪で解表を助ける
4.疏散風熱 宣肺止咳
5.疏散風邪 和営止痒
回答→ 3
問題 患者、悪寒発熱、熱軽寒重、無汗肢冷、倦怠嗜臥、面色蒼白、語声低微、舌淡白苔、沈遅脈。この治療で選ぶべき方剤はどれか?
1.麻黄湯
2.参蘇飲
3.桂枝湯
4.再造散
5.敗毒散
回答→ 4
【解説】
この症例は、一般的な風邪とは異なり、体内の陽気が極度に不足している状態に、風寒の邪気が侵入した特殊な病態です。これを判断する鍵となる症状は以下の通りです。
・陽気虚弱の症状→ 倦怠嗜臥、面色蒼白、語声低微、舌淡白苔、沈遅脈
・風寒の症状→ 悪寒発熱、熱軽寒重、無汗肢冷
再造散は、黄耆や人参で陽気を補いながら、附子、桂枝、細辛といった温性の生薬で風寒の邪気を払うため、この病態に最も適した方剤です。
1.麻黄湯
体力が充実している人の風寒感冒に用います。
2.参蘇飲
陽気虚弱ではなく、気虚と痰飲を伴う風寒感冒に用います。
3.桂枝湯
汗が出る「風寒表虚証」に用いるため、無汗のこの症例には適しません。
5.敗毒散
風寒湿の邪気による感冒に用いますが、再造散ほど深刻な陽気虚弱は伴いません。
問題
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4.
5.
回答→
【解説】
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