はじめに
当院の薬香をはじめて使われた方の中には、
「いわゆる“とても良い匂いのお香”とは少し違いますね」
と感じる方もいらっしゃいます。
それは、決して、お香の焚き方が失敗でも、品質の問題でもありません。
むしろ、薬香が意図的に“香りを設計していない”という点に由来しています。
このページでは、なぜ薬香の香りが市販のお香と違って感じられるのか、
そして当院で扱っている薬香の立ち位置について、少し丁寧にお話しします。
市販のお香は「香りが設計されています」

専門店などで販売されている、いかにも「とても良い匂いがする」お香。
それらの多くは、香りそのものが設計されたお香です。
市販のお香には、合成香料(フレグランス)が使われていることがほとんどです。
合成香料とは、
を、化学的に再現したものです。
そのため、香りが強く、長く残り、一瞬で「良い匂い」と感じやすい
という特徴があります。
これは、「香りを楽しむ」ことを目的としたお香としては、とても完成度の高い設計です。
薬香は「香りを作ること」を目的にしていません

一方、当院で扱っている薬香は、「良い匂い」を作るためのお香ではありません。
使用しているのは、
などの、天然の生薬のみです。
これらを粉末にし、香りを足したり、覆ったりすることなく、
(粉末にする作業は院長が自らの手で頑張ってます。)
そのままの性質を活かして使っています。
そのため、「線香に近い香りに感じる」「渋さや煙っぽさを感じる」ことがあります。
ですがそれは、香りをごまかしていない証拠でもあります。
なぜ「線香っぽく」感じるのか
理由はとてもシンプルです。
つまり薬香は、素材の性質がそのまま表に出る香りなのです。
市販のお香は、その素材のクセを香料で覆い、「誰にとっても良い匂い」と感じやすく設計されています。
薬香は、その逆を選んでいます。
香りで「気づく」という考え方
薬香は、気分を一気に変えるためのものではありません。
香りを通して、
といった変化が起こることを大切にしています。
使っているうちに、「香りがどうこう」よりも、呼吸のしやすさや、静けさのほうが先に残ると感じる方も多いです。
薬香の立ち位置について
市販のお香と、薬香。
どちらが良い・悪いという話ではありません。
目的が違うだけです。
当院の薬香は、治療の代わりになるものではありません。
治療で整えた状態を、日常の中でやさしく保つためのひとつの養生の選択肢です。
その点をご理解いただいた上で、必要な方にだけ、静かに使っていただけたらと思っています。
よくある質問(Q&A)
薬香についての詳しい説明はこちら
▶ 薬香について






・市販のお香→香りを楽しむもの
・薬香→香りを通して、状態に気づくための養生