
火を灯し、香りを感じる。
それは、古くから行われてきた養生のひとつです。
忙しい日常の中で、私たちは知らず知らずのうちに、呼吸を浅くし、身体の感覚から離れていきます。
薬香は、そんな状態にそっと気づくための、香りの養生です。
もくじ
薬香とは
薬香とは、白檀・沈香・乳香・没薬・朱砂・沢蘭など、天然の香木や生薬を用いたお香のことです。
漢方薬と同じ素材を使いながら、飲むのでも、塗るのでもなく、香りとして呼吸にのせて取り入れる東洋医学的な養生法です。
身体の内側に何かを加えるのではなく、身体の外側から、静かに巡りを整えるそんな特徴があります。
なぜ治療院で薬香をすすめるのか
治療は、その場で身体を整えるための時間です。
しかし、日常生活に戻れば、身体はまた少しずつ緊張していきます。
薬香は、治療と日常生活をつなぐ養生。
治療院で整えた身体の状態を、ご自宅でも静かに保つためのひとつの方法としてご提案しています。
薬香の焚き方
(※ここに使い方動画を挿入)
※白檀香炭は、点火直後に煙が多く出ます。
※必ず換気をしながらご使用ください。
難しい作法は必要ありません。香りを感じ、呼吸をするだけで十分です。
薬香と、静かな時間について
薬香は、何かを「変えるため」の道具ではありません。
香りを感じることで、今の自分の状態に気づきやすくなるそのための養生です。
もし、
そんなときは、「整えよう」としない時間そのものが、養生になる場合もあります。
▶︎ 変えようとしなくていい。気づくだけでいい。
(※考え方についてまとめた別ページへ)
薬香を「続ける」ためのかたちとして

薬香は、特別な修行のためのものではありません。本来は、日常の中で、静かな時間をつくるための養生です。
とはいえ、
そう感じる方も少なくありません。
そのため当院では、養生を無理なく始め、続けていけるように薬香を少量ずつお分けしています。
弁証論治の考え方をもとに、今の状態やお悩みに合わせて香りの方向性をご提案することも可能です。
販売について
薬香は、治療の代わりになるものではありません。
治療で整えた状態を、日常の中でやさしく保つための養生のひとつの選択肢です。
そのため、
内容や使い方については、お渡しする際に簡単にご説明しています。
ご自宅での養生として、静かな時間のお供として、必要な方に届けば嬉しいです。
香灸静坐という養生
薬香に慣れてきた方の中には、「もう少し深く養生を取り入れたい」と感じる方もいらっしゃいます。
そのような方向けに、薬香・お灸・静かな呼吸を組み合わせた香灸静坐(こうきゅうせいざ)という養生があります。
これは、身体を整えることだけを目的としたものではなく、自分の状態を丁寧に感じ取るための時間として行う養生です。
少しレベルの高い方法になるため、無理に行う必要はありません。
興味のある方は、具体的なやり方や注意点をまとめたページをご覧ください。
▶︎ 香りとともに行う養生について— 瞑想・お灸・香灸静坐 —
(レベルアップ養生の解説ページへ)
最後に
薬香は、特別な人のためのものではありません。
忙しい毎日の中で、ほんの少し立ち止まるための養生。
火を灯し、香りに身をゆだねる。
それだけで、身体は少しずつ、本来の状態を思い出していきます。





