問題161 滅菌済単回使用毫鍼の医療機器クラス分類はどれか。
1.クラスⅠ(一般医療機器)
2.クラスⅡ(管理医療機器)
3.クラスⅢ(高度管理医療機器)
4.クラスⅣ(高度管理医療機器)
回答→ 2
【解説】
滅菌済単回使用毫鍼の医療機器クラス分類はクラスⅡである。
問題162 松葉形の鍼尖形状について正しいのはどれか。
1.スリオロシ形と柳葉形の中間
2.ノゲ形と卵形の中間
3.卵形とスリオロシ形の中間
4.柳葉形とノゲ形の中間
回答→ 2
【解説】
・卵型
鍼尖が卵のように丸味をおびているもので、曲がりにくいが刺入しにくく、刺入時に鈍痛感を与えやすい。
・松葉型(管鍼法で用いる)
鍼尖の少し上方から細くして、ノゲ形と卵形の中間の形にしたもので、刺入しやすく、疼痛も少ない。
・ノゲ型
鍼尖の上部約1.5mmぐらいのところから細くしたもので、刺入しやすく曲がりにくいが、疼痛を与えやすい。
・スリオロシ形(打鍼法で用いる)
鍼体の根部より順次細くしたもので、刺入しやすいが曲がりやすく、疼痛を与えやすい。
問題163 機械刺激と温熱刺激を同時に与える特殊鍼法はどれか。
1.小児鍼法
2.灸頭鍼法
3.皮内鍼法
4.鍼通電療法
回答→ 2
【解説】
灸頭鍼法は笹川智興によって創始された鍼法で、鍼による機械的刺激と灸による熱刺激を同時に行う治療方法である。灸頭鍼法においては、鍼を直刺することが基本で、鍼柄に艾球を取り付けて燃焼させる。艾の熱刺激は輻射熱と鍼体を介した伝導熱であり、刺入部位周辺および刺鍼深部組織を温めるが、ほとんどが輻射熱によるもので、熱伝導はごくわずかである。
参考:鍼灸療法技術ガイドⅠ-P109
問題164 鍼療法の禁忌はどれか。
1.化学療法に伴う吐き気
2.悪性腫瘍に伴う痛み
3.つわり
4.クスマウル呼吸を伴う意識障害
回答→ 4
【解説】
常識的な問題である。以下にWHOのガイドライン (1999年)で記す、鍼治療は避けるべき状態。
1.妊娠 (陣痛を誘発する可能性、流産を誘発する可能性がある)
2.救急事態もしくは手術を必要とする場合 (鍼灸を救急療法として用いない)
3.悪性腫瘍 (腫瘍への直接刺激を避ける)
4.出血性の疾患
※ただし、妊娠、悪性腫瘍については、愁訴の改善やQOLの向上、現代医療の補完などが期待できる場合には注意して施術を行うとある。
クスマウル呼吸は、深く速い呼吸が規則正しく持続する異常呼吸である。代謝性アシドーシスなどでみられる。もちろん、救急事態なので鍼灸をしている場合ではない。
問題165 深刺により椎骨動脈を損傷するリスクが最も高い経穴はどれか。
1.瘂門
2.風池
3.完骨
4.翳風
回答→ 2
【解説】
風池の深部には延髄と椎骨動脈がある。
[風池に刺鍼する場合の比較的安全な方法]
・反対側の内眼角に向けて刺鍼する。
・左右両側の風池間を透する。
・風池から風府に向けて透刺する。
参考:危険経穴の断面解剖アトラス P.56
問題166 鍼施術を行う場合、感染症対策として適切でないのはどれか。
1.手洗い後の手指の乾燥にはペーパータオルを使用する。
2.鍼皿は滅菌済みディスポーザブルのものを使用する。
3.施術野の消毒には70%イソプロピルアルコールを使用する。
4.抜鍼時に使用した消毒綿花は一般廃棄物として処理する。
回答→ 4
【解説】
消去法で選択すると4番が最も適切と言える。
血液のついた綿花等は、鍼灸師の社会的立場と責任から、 「感染性廃棄物(鋭利物)」に準じた処理を行うことが推奨されている。
しかし大阪府のホームページには、「鍼灸院で発生した使用後の鍼は感染性廃棄物か?」について、「鍼灸院で発生した使用後の消毒綿は、血液等が多量に付着していない限り感染性廃棄物ではなく、事業系一般廃棄物となります。」とある。
https://www.pref.osaka.lg.jp/o120060/jigyoshoshido/report/faq_9.html
問題167 切皮時に一次痛が生じた。関与する侵害受容器はどれか。
1.高閾値機械受容器
2.ポリモーダル受容器
3.メルケル盤
4.毛包受容器
回答→ 1
【解説】
1.◯高閾値機械受容器の情報は、細い有髄のAδ線維によって伝達されて、刺すような速い痛みを伝える。
2.ポリモーダル受容器の情報は、非常に細い無髄のC線維によって伝達され、うずくような遅い痛みを伝える。
3.メルケル盤は表皮にある圧受容器である。(有髄のAβ線維)
4.毛包受容器は触圧覚である。(有髄のAβ線維)
問題168 痛覚の伝導に関与するのはどれか。
1.脊髄灰白質中間質
2.脊髄前側索
3.脊髄後側索
4.脊髄後索
回答→ 2
【解説】
温痛覚は3つのニューロンからなり、自由神経終末で受け取った情報は外側脊髄視床路を上行して伝導する。
[詳細]
温度覚・痛覚は一次求心性ニューロンによって後根から脊髄後角に入り、後角内でシナプスを介して二次ニューロンに伝わる。二次ニューロンは、ただちに交叉して対側の(前)側索を上行し、視床でニューロンを三次ニューロンに交代する。三次ニューロンは内包(視床と大脳基底核の間)を通り大脳皮質感覚野に投射する。
※感覚を伝える一次ニューロンは偽単極性ニューロンであり、細胞体は脊髄神経節に存在することも覚えておこう。
問題169 鍼刺激による発汗に関与し、エクリン腺に分布する受容体で最も適切なのはどれか。
1.a受容体
2.b受容体
3.ニコチン受容体
4.ムスカリン受容体
回答→ 4
【解説】
エクリン腺の受容体はムスカリン受容体で、交感神経の支配を受ける。注意したいのは、通常は交感神経節後線維からはアドレナリンが放出されるが、汗腺に関しては例外で交感神経節後線維からはアセチルコリンが放出される。
前述の通り、エクリン腺は交感神経支配であるが、放出されるのはアセチルコリンなのであるから、汗腺の受容体はムスカリン受容体なのである。
本来、発汗は放熱のための生理現象で、もしアドレナリンによって発汗が起こる仕組みであると血管も収縮し、発汗には非効率となるためアセチルコリンが放出されると覚えておこう!
問題170 鍼刺激による皮膚の血流増加に関係するのはどれか。
1.NO
2.セロトニン
3.アンジオテンシン
4.ノルアドレナリン
回答→ 1
【解説】
NO(一酸化窒素)は 鍼刺激による皮膚の血流増加に関係する。NOは血管内皮細胞で合成・放出され、血管を拡張させて血流を増加させる。セロトニンやノルアドレナリンは鍼刺激での下行性疼痛抑制系の鎮痛に関与する。その他、血管拡張物質には軸索反射によって放出されるCGRP、サブスタンスP、VIPがある。また刺鍼によって組織から漏出するATP、ADP、アデノシンはNOの合成に働くことで血管の拡張に関与する。
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