知ればもっと使える、毎日のツボ。
鍼灸師・国際中医専門員である筆者が、昔から受け継がれてきたツボの効能・効果、名前の由来、場所、押し方、ちょっと意外な豆知識までわかりやすく紹介します。肩こりや頭痛、疲れ、胃腸の不調など、日々のセルフケアに。毎週ひとつ、あなたの身体に役立つツボを覚えてみませんか?
養老 手の太陽小腸経のツボ(郄穴)
今回の「今週のツボ」は、手首にある養老(ようろう)です。
「養老」という名前のツボがあること自体、ちょっと意外ではないでしょうか。
名前だけを見ると、いかにも健康長寿に良さそうですが、実際には古くから目の不調や肩・腕の痛み、首のこわばりなどに使われてきたツボです。
効能・効果
目のかすみ、視力の衰え、肩・腕の痛み、首のこわばり、寝違え、腰痛など
1.目の不調
目のかすみや見えにくさなど、目に関する症状に用いられてきました。
2.肩・腕の痛みやこわばり
肩から腕にかけての痛み、しびれ、動かしにくさなどに使われます。
3.首の痛み・寝違え
養老は手太陽小腸経の「郄穴(げきけつ)」で、首や肩、腕など経絡上に現れる急な痛みに用いられることがあります。中国の中医科普でも、寝違えによる頸部痛に用いる経穴として紹介されています。
名前の由来
「養」は養うこと、「老」は老いることを意味します。年齢を重ねると起こりやすい、目のかすみ、耳の衰え、腰や肩・腕の痛みなどに使われてきたことから、「養老」と名づけられたとされています。つまり、老いに伴う身体の不調を養い整えるツボという意味が、この二文字に込められているわけです。
ツボの場所

養老は、手首の小指側にあります。手のひらを自分の胸の方へ向けるようにすると、小指側の手首に「尺骨頭」という骨の出っ張りがあります。その骨の近くにある小さなくぼみが養老です。少し探しにくいツボですが、手首を動かしながら触ってみると、骨と骨の間にくぼみを感じやすくなります。
豆知識|古典では「明目」と「舒筋」のツボ
養老について古典では、
明目(めいもく)
舒筋(じょきん)
という働きがあるとされています。
「明目」とは、文字通り目を明らかにするという意味。目のかすみや視力の衰えなど、目の働きを整える目的で使われてきました。
一方の「舒筋」は、筋をゆるめ、動きをなめらかにするという意味です。
肩や腕の痛み、こわばり、動かしにくさなどに養老が使われてきた理由も、ここにつながります。つまり養老は、「目」と「筋肉・関節」という、一見するとあまり関係なさそうな二つの症状に使われてきたツボなんですね。
さらに養老は、手太陽小腸経の郄穴(げきけつ)でもあります。「郄」には“すき間”という意味があり、郄穴は経絡の気血が深く集まる場所と考えられてきました。古くから郄穴は、特に急に起こった痛みや症状に使われることが多いツボです。
ツボの押し方
養老は少し場所を探すのにコツがあります。まず、手のひらを胸の方へ向けます。小指側の手首にある骨の出っ張りを探し、そのすぐ近くのくぼみに親指を当てます。見つけたら、
3〜5秒ほどゆっくり押す → 力を抜く
これを3回程度繰り返してみましょう。痛いほど強く押す必要はありません。パソコンやスマートフォンを長時間使ったあと、肩や腕が重く感じるときなどに試してみてください。「養老」という名前を覚えてしまえば、たぶん忘れにくいツボです。
今週はぜひ、自分の手首にある「養老」を探してみてください。
セルフケアをしても不調が続くときは
痛みや身体の不調は、症状が出ている場所だけを見れば分かるとは限りません。
トレイン治療院では、鍼灸・マッサージ・整体を組み合わせながら、身体の動きや筋肉の緊張、姿勢、生活習慣なども確認し、その方に合わせて施術しています。
「自分の場合は何が原因なのだろう?」
「セルフケアをしているけれど、なかなか良くならない」
という場合は、お気軽にご相談ください。






