今日はクリスマスなので、それにちなんだお話を。
「サンタクロースの正体は親だと、子どもに知られてはいけない。それは“大人に与えられた義務”である」
これは、最近読んでいる「世界は贈与でできている」という本の中に出てきた一節です。
最初に読んだとき、
「義務って、ちょっと大げさじゃないか?」
と思いました。
でも、読み進めるうちに、この言葉の意味が、じわじわと胸に残ってきました。
🎁 贈与は「見返り」が見えた瞬間に壊れる
サンタクロースの世界では、子どもはプレゼントをもらっても、
用意したのかを知りません。
そこには
「ありがとうを言われるため」
「良い子にさせるため」
という交換条件がありません。
ただ、理由のない贈り物があるだけ。
この本では、それこそが「贈与」だと語られています。
もし子どもが「これ、パパとママが買ってくれたんでしょ?」
と知ってしまった瞬間、贈り物は一気に
「労力」
「対価」
「評価」
の世界に引き戻されてしまう。
だからこそ、大人は黙ってサンタを演じ続ける責任がある
――それが「義務」なのだと本には書いてあります。
🌱 大人になっても、私たちは贈与の中で生きている
考えてみると、私たち大人の世界にも、本当はたくさんの「サンタ」がいます。
でも大人になると、つい何でも
「理由」
「損得」
「意味」
を探してしまう。
それは資本主義の中ではとても自然なことだけど、同時に、世界のやさしい部分が見えなくなる瞬間でもあるのかもしれません。
🎄 今日だけは、サンタを信じてみる
今日がクリスマスでよかったなと思うのは、
「信じること」
「受け取ること」
「説明しないこと」
を、大人も一日だけ思い出せる日だからです。
サンタクロースは、子どものためだけの存在ではなく、もしかすると大人が世界を信じ直すための装置なのかもしれません。
つまり、サンタクロースは人ではなくて、「機能」に与えられた名前。
今年のクリスマス、あなたのもとにも気づいていない“贈与”がそっと届いていますように。










