こちらは当院でもよく聞かれる質問です!
では私の記事の前に専門家のX(ツイート)を引用させて頂きます。
🤰「骨盤ベルトは骨盤の歪みを直すのに効果があるのでしょうか?そもそも産後の骨盤はどうなっているのですか?」
良い質問だ!🐻❄️
骨盤ベルトの目的を一言で言うと「骨盤の安定性を補う」といったところですね。ちなみに、「産後の骨盤の歪みを治す」とか言い出す整〇師は全員アレです。… pic.twitter.com/eQWWxWXrty
— 産婦人科医やっきー (@yacky_sanfu) May 29, 2024
このツイートで回答は完結しているのですが、改めてまとめたいと思います。
結論は、「目的によるが、絶対的に必要なものではない」かと思います。
重要なのは、マイナートラブルの軽減が目的なのか、骨盤の歪み改善が目的なのかで必要性は変わるかと思います。
よって、骨盤ベルトをする事で痛みなどが軽減するのであれば活用することは良い思います。
骨盤ベルトの作用機序についてのエビデンスは不明なものの、妊娠中、産後等の腰痛の軽減には有効とされる報告は多くあるそうなので、骨盤ベルトを使用する目的は「骨盤の安定性を補うツール」として利用いただければと専門家も仰っています。
筆者のイメージとしては、産前産後はホルモンの影響で骨盤の連結部がゆるいため、力学的な負荷が加わると連結部が引っ張られて痛みを感じやすいので、ベルトによってその負担を減らしてあげる感じです。
一方、骨盤ベルトに骨盤の歪み防止や改善といった医学的根拠はありませんので、そのような目的であれば不必要かと思います。
では少し「骨盤の歪み」について注目してみましょう。
繰り返しになりますが、お母さんの体は妊娠初期からプロゲステロンやリラキシンなどといったホルモンにより骨盤の連結(骨盤は1枚の骨ではなく3種類の骨で構成します。これらを繋ぐ部分)が緩み、出産の準備をしていくわけですが、これを「骨盤の歪み」と混同してはいけません。
「歪み」とは常に歪んだ状態をさします。しかし「緩んでいる」は、連結部の硬いゴムのような組織が通常時よりも伸縮しやすくなっている状態で、動かせば少しは動くといったイメージです。
何度も言いますが、そもそも骨盤は歪まないとされています。
この、連結が緩む+妊娠による姿勢の変化+赤ちゃんが骨盤下の輪っかを通る、などで恥骨部痛や腰痛を訴える人が多いようです。
無事に出産を終えるとこの緩みは時間をかけて自然に解消されていきます。
しかし、これらのマイナートラブルを「骨盤の歪み」を原因にしてビジネスをするのが、産後骨盤矯正です。
とある整骨院などでは、最初の文面は医学的な事を書いてますが、途中からは不安を煽る内容と変化していきます。
開いた骨盤を完全に正しい位置に戻すにはセルフケアでは難しく、整骨院での骨盤矯正が効果的で、骨盤が開いたままにすると身体の歪みまで引き起こす原因になります。
こんな内容も見つけました。
一番好ましいのは産後骨盤矯正を受けることです。専門の知識を持っているプロの手で骨盤の歪みを整えることで腰痛や恥骨痛といった不調の解消のほか、太りにくく痩せやすくなる・姿勢が良くなるなどのメリットもあります。
また、関連して多い質問が、[産後で体重もある程度戻ったのに、昔のズボンが入らないのはなぜ?やっぱり骨盤が開いたままだから?]
というような解釈をもたれる方が多くいらっしゃいます。
これはおそらく、体重は同じでも骨盤周囲の筋肉や脂肪の付き方に変化があったからだと思われます。
しかし、これを「骨盤の広がりが原因」と不安を煽れば産後骨盤矯正のビジネスもやりやすいです。
産後に矯正をしなかったら骨盤が開きっぱなしということにはなりませんのでご安心ください。
とはいえ産前・産後のお母さんの体は、肉体的にも精神的にも不安や疲労でいっぱいだと思います。
ありもしない「骨盤の歪み」にフォーカスするよりも、他に現実的にサポートできることは多くありますので、どうぞ当院の「幸せな気持ちになるマッサージ」を受けながら、お悩みについて話をお聴かせ下さい。
最後まで読んで下さりありがとうございました。
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