問題24 核酸について正しいのはどれか。
1.DNA にはアミノ酸が含まれる。
2.DNA は3種類の塩基で構成される。
3.RNA は蛋白質合成に必要である。
4.RNA は凝集して染色体を形成する。
回答→ 3
【解説】
1.DNA(デオキシリボ核酸)は、リン酸、糖(デオキシリボース)、塩基からなる高分子化合物である。DNAにはアミノ酸があるのではなく、アミノ酸を設計するための配列情報がある(それを遺伝子という)。この配列情報をmRNAがコピーして核外へ運び(転写)、この塩基を元にアミノ酸をリボソームへ運んできて(tRNAの役割)、それを並べてタンパク質を作るのである(翻訳)。
2.DNA は4種類の塩基で構成される。 DNAを構成する塩基はアデニン(A)、グアシン(G)、チミン(T)、シトシン(C)である。RNAの場合はチミン(T)の代わりにウラシル(U)であることも覚えておこう。
3.◯RNA は蛋白質合成に必要である。
4. 核の中でDNAは通常は細い二重らせん構造で糸状になっている。そして細胞分裂の時だけ凝集し、顕微鏡で見えるようになる。このDNAが凝集したものを染色体と言う。
問題25 赤血球について正しいのはどれか。
1.腎臓で産生される。
2.多核細胞である。
3.蒸留水に入れると溶血を起こす。
4.寿命は約 7 日である。
回答→ 3
【解説】
1.主に骨髄で産生される。
2.赤血球は核を失った細胞である。
3.◯蒸留水に入れると溶血を起こす。
溶血とは寿命を迎える前の赤血球が何らかの原因により破壊されること、つまり内部のヘモグロビンが細胞外に流出する現象を言う。 水を静脈注射してはいけない理由は、蒸留水のような低張液は細胞膜を通して、水が血球の中に入って赤血球を膨張させ、細胞膜が破れて溶血を起こすためである。
4. 赤血球は核を失っているので増殖能はなく、寿命は約120日である。
問題26 呼吸運動を促進するのはどれか。
1.体液の浸透圧上昇
2.体液のpH低下
3.動脈血酸素分圧の上昇
4.動脈血二酸化炭素分圧の低下
回答→ 2
【解説】
1.体液の浸透圧は直接的に呼吸運動に関与しない。
2.◯体液のpH低下
つまり酸性に傾き、血中の酸素分圧の減少あるいは二酸化炭素分圧の増大となている状態である。この場合、延髄の呼吸中枢の近くにある化学受容体が刺激され呼吸は促進される。
3.動脈血酸素分圧の低下
4.動脈血二酸化炭素分圧の上昇
[過去に似た問題]
Q.呼吸運動を促進するのはどれか。
1.体温の低下
2.血中水素イオン濃度の減少
3.血中酸素分圧の増加
4.大動脈小体の興奮
回答→4
【解説】
1.体温の上昇は呼吸を促進させ、体温の低下は呼吸を減弱させる。また、様々なホルモンも呼吸中枢に作用する。例えば、運動時や精神的興奮時にはアドレナリンの分泌が亢進して呼吸を促進する。
2.血中水素イオン濃度の増加で呼吸は促進される。つまりpHは低下(酸性に近づく)ということである。
そもそもpHとは、その液体が酸性なのか、アルカリ性なのかを表す水素イオン濃度の指標で、水素イオン濃度が増加するということは二酸化炭素分圧(PaCO2)が上昇しているということである。水素イオン濃度が増加し、脳脊髄液のpHが低下すると、延髄の呼吸中枢の近くにある化学受容体が刺激され呼吸は促進される。
(補足:pHは中性が7で、それより低いと酸性、高いとアルカリ性である。)
3.血中酸素分圧の減少で呼吸が促進される。
4◯ 頸動脈洞の近くにある頸動脈小体および大動脈弓にある大動脈小体 (あるいは大動脈体)には、血中の酸素分圧の減少あるいは二酸化炭素分圧の増大、pHの低下に反応する化学受容器がある。
(頸動脈小体、大動脈小体は末梢性化学受容器で、pHの低下では中枢性化学受容器が働く)これらの受容器が興奮するということは、センサーが作動し、その情報がおのおの舌咽神経および迷走神経を介して呼吸中枢に伝えられ、呼吸運動が促進されるということである。
問題27 放熱を促すのはどれか。
1.立毛筋の収縮
2.甲状腺ホルモンの分泌
3.皮膚血管の拡張
4.骨格筋の収縮
回答→ 3
【解説】
1.立毛筋の収縮では放熱の防止(産熱効果の助長)となる。立毛筋の収縮により立毛が起こって体表面の空気層の厚さが増し、放熱が防止される。(ヒトでは鳥肌)
2.甲状腺ホルモンの分泌には代謝促進作用があり、長時間にわたり熱産生を増大する。
3.◯皮膚(の毛細)血管を拡張させ末端の血流をよくすることで、熱放出を高める。
4.骨格筋の収縮 に伴って熱が発生する。
問題28 プロラクチンについて正しいのはどれか。
1.乳汁産生を促す。
2.排卵を促す。
3.ステロイドホルモンである。
4.下垂体後葉から分泌される。
回答→ 1
【解説】
プロラクチン(PRL)は、下垂体前葉ホルモンの1つで、乳管への乳汁分泌作用と性腺抑制作用を持つ。
生理作用 ① 乳腺の発達 ② 成熟した乳腺細胞における乳汁産生と分泌の促進 ③ 排卵(卵巣機能)の抑制 |
1.◯乳汁産生を促す。
2.排卵を抑制する。
3.プロラクチンはペプチドホルモンである。ステロイドホルモンは副腎皮質ホルモンと性ホルモンがある。
4. プロラクチンは下垂体前葉から分泌される。 下垂体効用ホルモンには、オキシトシンやバゾプレシン(ADH)がある。
問題29 副交感神経活動に対する応答で正しいのはどれか。
1.発汗の促進
2.気管支筋の弛緩
3.心収縮力の増加
4.直腸平滑筋の収縮
回答→ 4
【解説】
ひっかけ問題ですね。平滑筋というワードを見逃すと4番も間違いのように思ってしまいます。
[交感神経と副交感神経の主な働き]
・交感神経
① 内臓平滑筋の弛緩
② 括約筋の収縮
③ 血管平滑筋の収縮
④ 心筋活動の亢進
・副交感神経
① 内臓平滑筋の収縮
② 括約筋の弛緩
③ 心筋活動の抑制
④ 腺分泌の亢進
【参考】
看護師試験に良い問題がありました。
Q.排便時の努責で正しいのはどれか。2つ選べ。
(怒責とはいきむこと)
1.直腸平滑筋は弛緩する。
2.呼息位で呼吸が止まる。
3.外肛門括約筋は収縮する。
4.内肛門括約筋は弛緩する。
5.腹腔内圧は安静時より低下する。
回答→ 2.4
【解説】
ここで大切なのは、 随意筋の外肛門括約筋(陰部神経)、不随意筋の内肛門括約筋(骨盤内臓神経)は排便時は弛緩し、直腸平滑筋(骨盤内臓神経)は収縮するということ。
【排便機序】
直腸に消化残渣が送られて直腸伸展
↓
骨盤神経(求心路)を通って排便中枢へ(腰仙髄)
↓
骨盤神経(副交感神経)遠心路の活動亢進
↓
S字結腸と直腸の収縮
(同時に下腹神経(交感神経)抑制で内肛門括約筋弛緩)
↓
陰部神経(体性運動神経)抑制で外肛門括約筋弛緩
↓
排便
問題30 骨格筋の収縮について正しいのはどれか。
1.筋細胞の活動電位は筋収縮と同時に起こる。
2.収縮のエネルギーはADPの分解による。
3.筋小胞体からのカルシウムイオン放出により起こる。
4.日常の運動は単収縮によって行われる。
回答→ 3
【解説】
1.筋が収縮するときには、最初に筋の活動電位が発生し、続いて収縮タンパクのアクチンとミオシンが化学的に反応して筋の収縮が起こる。
2.収縮のエネルギーはATPの分解による。
3.◯筋小胞体からのカルシウムイオン放出により起こる。
【骨格筋の興奮収縮連関】
・収縮
活動電位発生→横行小管の脱分極→筋小胞体からのCa2+放出→Ca2+濃度が増大→トロポニンへのCa2+結合→アクチンフィラメントとミオシンフィラメントの相互作用が起こり、骨格筋が収縮
・弛緩
Ca2+の筋小胞体内への取り込み→Ca2+濃度の低下が起こり、骨格筋は弛緩
4.日常の運動は強縮によって行われる。ちなみに心筋の収縮は単収縮である。
全くの無駄知識だが北斗神拳奥義に転龍呼吸法というものがある。これは普通の人間は潜在能力の30%の力しか発揮できないが、この奥義を使うことで100%の力を引き出すことができる。つまり意図的に筋力発生の抑制のタガを外して、全運動単位が動員された状態である。
問題31 脊髄に反射中枢が存在するのはどれか。
1.屈曲反射
2.嚥下反射
3.立ち直り反射
4.緊張性頸反射
回答→ 1
【解説】
1.◯屈曲反射
引っ込め反射・逃避反射とも言い、防御的役割を持つ反射である。痛みなどの刺激から身を守るために肢を体幹に近づける反射で、中枢は脊髄にある。
2.嚥下反射
咀嚼した食物が咽頭に送り込まれた際、食物を食道の入り口まで移送する過程に起こる反射である。嚥下のプロセスには「口腔期」、「咽頭期」、「食道期」があるが、「口腔期」は随意運動であるのに対して、次の咽頭期は随意運動ではなく反射によって食物が送られることがポイントである。中枢は延髄にある。
3.立ち直り反射
立ち直り反射とは、姿勢反射の一種で、正常な位置から身体がずれているときに正常の位置に姿勢を戻そうと働く反射である。中枢は中脳にある。
4.緊張性頸反射
・非対称性緊張性頸反射
顔が向いているほうの上下肢を伸展し、反対側の上下肢は屈曲する反射で、 新生児特有の反射である(原始反射)。
・対称性緊張性頸反射
腹臥位で顎を上げると腕が伸びて足が屈曲し、顎を下げると、逆に腕が曲がって足が伸びる。同じく原始反射である。共に中枢は延髄である。
問題32 視床の外側膝状体で中継される感覚はどれか。
1.嗅覚
2.視覚
3.味覚
4.聴覚
回答→ 2
【解説】
1.嗅覚
嗅上皮→ 嗅神経→ 嗅球→嗅索→ 嗅覚野
※視床を経由しない
2.◯視覚
視細胞→ 双極性視細胞→ 神経節細胞→ 視神経→ 視神経交叉→ 視索→ 外側膝状体(視床)→ 視放線→ 視覚野(視索の一部は中脳の上丘へ。これは瞳孔反射)
3.味覚(顔面神経と舌咽神経の2つの脳神経を介して脳幹に入力)
・味細胞(前2/3)→ 鼓索神経(細胞体は膝神経節にあり)→ 顔面神経→ 孤束核(延髄)→ 内側毛帯(中脳)→ 視床(VPM)→ 味覚野
・味細胞(後1/3)→ 舌咽神経(細胞体は下神経節)→ 孤束核→ 視床(VPM)→ 味覚野
※舌咽神経の感覚線維は頸動脈洞と頸動脈小体へも枝を出し、血中の二酸化炭素濃度や血圧の情報を中枢へ送る。
4.聴覚
コルチ器→ 蝸牛神経(細胞体はらせん神経節)→蝸牛神経核→ 外側毛帯(橋)→ 下丘(中脳)→ 内側膝状体(視床)→ 聴放射→ 聴覚野
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