子どもが保育園や幼稚園へ通い始めると、驚くほど頻繁に風邪を引くようになります。風邪が治ったと思ったら、次の週にはまた鼻水。咳が落ち着いたと思ったら、今度は発熱。
なんだよこれ💦風邪引きすぎだろ!!
そんなときに読んだのが、『親が知っておくべき 放っておくと怖い子どもの風邪のこと』という本です。この本を読んで特に印象に残ったのは、子どもの風邪では、発熱だけでなく、鼻水をどのように見て、どのようにケアするかが大切だということでした。
本の内容をひと言で表すなら、”たかが鼻水、されど鼻水”。今回は、この本を読んで学んだことと、2人の子どもを育てる父親として感じたことをまとめます。
- 子どもは集団生活が始まると、マジで何度も風邪を繰り返す
- 鼻の外へ出ている鼻水だけでなく、喉へ流れる後鼻漏にも注意が必要
- 鼻水や鼻づまりは、咳だけでなく、睡眠や食事、授乳にも影響する
- 子どもは自分で鼻をかめないため、鼻水を喉へ飲み込んでしまいやすい
- 夜に咳が増える背景には、横になることで鼻水が喉へ流れやすくなることも関係する
- 鼻水ケアは、子どもが呼吸しやすく、眠りやすく、食べやすくするために大切
- 自分で鼻をかめるようになる前から、鼻から息を出す練習を始めておく
集団生活が始まると、風邪が一気に増える
わが家には、現在0歳と2歳の息子がいますが、集団生活が始まるまでは、咳や鼻水が出ることも、発熱することも、それほど頻繁ではありませんでした。ところが、保育園などでほかの子どもたちと過ごすようになると、状況は一変。
風邪が治ったと思ったら、次の週にはまた鼻水が出る。少し落ち着いたと思ったら、今度は咳や発熱。そして一家全員へと蔓延する。もはやバイオハザード🧟です。
しかし、幼い子どもが集団生活へ入ったあとに呼吸器感染症を繰り返すことは、珍しいことではないようです。子ども同士が近い距離で過ごす場所では、さまざまな感染症に接する機会が増えます。特に集団保育へ入ったばかりの子どもは、呼吸器感染症や胃腸炎などにかかる機会が増えることが知られています。

そもそも「風邪」とは何なのか
風邪は一つの病名というより、主にウイルスなどの感染によって、鼻や喉を中心とした上気道に炎症が起こっている状態をまとめた呼び方です。鼻水、鼻づまり、くしゃみ、喉の痛み、咳、発熱など、症状の出方には個人差があります。
よく「お腹の風邪」と言われることがありますが、これは患者さんや家族に分かりやすく伝えるための表現です。実際には、感染性胃腸炎などによって、嘔吐や下痢が起きている場合があります。鼻や喉に起こる一般的な風邪と、まったく同じものというわけではありません。
また、風邪の多くはウイルスによるものです。抗菌薬は細菌に対して使用する薬なので、ウイルスによる一般的な風邪に必ず必要になるわけではありません。
子どもの鼻水には、さまざまな情報がある
鼻水といっても、すべて同じ状態ではありません。本の中では、透明で水のような鼻水を「水ばな」、黄色や緑色、茶色など、色がついた鼻水をまとめて「青ばな」と表現していました。風邪の初期にはウイルスを外に出すために透明でさらさらした鼻水が出て、その後、鼻や喉で炎症が起きると粘り気が強くなったり、黄色や緑色に変化したりすることがあると書いてあります。一方、花粉症などのアレルギー性鼻炎では、透明でさらさらした鼻水、くしゃみ、鼻づまりなどが続くことがあるそうです。
ただし、ここで注意したいのが、鼻水の色だけで原因や重症度を判断できるわけではないということです。鼻水の色だけを見るのではなく、
といった全身の様子を合わせて見ることが大切です。
鼻の外に出ない「見えない鼻水」
この本で特に強く取り上げられていたのが、後鼻漏です。なんだったらこの本の8割は後鼻漏のことです。鼻水というと、鼻の穴から外へ流れてくるものを想像しますが、鼻水は前へ出るだけではありません。鼻の奥から喉のほうへ流れ込むことがあります。これが後鼻漏です。
大人であれば、喉に鼻水が流れてくる不快感に気づき、鼻をかんだり、痰として出したり、うがいをしたりできます。しかし、小さな子どもは自分で鼻をかむことができません。喉へ流れた鼻水を上手に外へ出すこともできず、そのまま飲み込んでしまうことがあります。鼻から外へ出てくる鼻水は、親が見れば分かります。ところが、鼻の奥から喉へ流れている鼻水は、外から見えません。本ではこれを、見えない鼻水として注意を促しています。
夜になると咳が増えるのはなぜ?
子どもの風邪では、昼間は比較的元気なのに、夜になると急に咳き込むことがあります。その理由の一つとして、姿勢の変化が考えられます。昼間は立ったり座ったりしているため、鼻の奥へ流れた鼻水は、そのまま飲み込まれることがあります。一方、夜に横になると、鼻水が喉の奥にたまりやすくなり、それが刺激となって咳が出ることがあります。
また、夜間の咳には、後鼻漏だけでなく、気道の炎症、喘息、クループ、気管支炎など、ほかの原因が関係している場合もあります。そのため、「夜の咳は、すべて鼻水のせい」と決めつけることはできません。ただ、鼻水や鼻づまりが強い子どもが、寝ついたあとに咳き込む場合には、喉へ流れる鼻水も一つの可能性として考えられます。
鼻水を飲み込むと、吐いてしまうこともある
小さな子どもは、鼻水や痰を上手に吐き出せません。粘り気の強い鼻水や痰が多いと、喉が刺激されて咳き込みやすくなり、強く咳き込むことで、えずいたり、食べたものを吐いてしまったりすることもあります。
特に乳幼児は、咳反射や嘔吐反射が起こりやすいため、風邪のときに咳き込んで吐くことは珍しくありません。吐いたあとの機嫌がよく、水分がとれている場合には、慌てず様子を見られることもあります。しかし、何度も吐く、水分がとれない、尿が少ない、ぐったりしている場合には、脱水の心配もあるため受診が必要です。
口呼吸が続くときは、鼻づまりを見逃さない
鼻が詰まっていると、子どもは口で呼吸するようになります。風邪を引いている数日間だけ口呼吸になることはありますが、風邪が治ったあとも常に口が開いている、寝ているときにいびきをかく、鼻呼吸がほとんどできていないように見える場合には、鼻の粘膜の腫れやアレルギー性鼻炎、アデノイドなどが関係していることがあります。
本では、バターナイフなど冷たい金属を鼻の下へかざし、吐く息による曇り方を見る方法が紹介されていました。左右の鼻から息が出ていれば、それぞれの鼻の下に曇りができます。曇り方だけで、鼻づまりの原因や重症度を正確に判断できるわけではありませんが、元気なときの状態を知っておき、普段と明らかに違う場合や、鼻づまりが長く続く場合には、耳鼻科や小児科へ相談するのがよいと思います。
本を読んで思い出した患者さん
この本の中で、私が特に印象に残った言葉の一つが、アデノイド顔貌でした。アデノイドは鼻の奥にあるリンパ組織で、子どもの時期に大きくなることがあります。アデノイドが大きくなって鼻呼吸がしづらくなると、口を開けて呼吸する状態が続くことがあります。
こうした口呼吸が成長期に長く続くことで、顎や歯並び、顔の発育に一定の特徴が現れることがあり、それを一般にアデノイド顔貌と呼ぶことがあります。
本を読みながらこの言葉を知り、インターネットで特徴を確認したとき、私は昔施術を担当していた一人の男性患者さんを思い出しました。その方は、いつも鼻の調子がよいとは言えず、たびたび副鼻腔炎になり、頭痛も訴えていました。さらに睡眠時無呼吸症候群があり、施術中に眠ってしまったときには、ほとんど必ずと言ってよいほど大きないびきをかいていました。
当時の私は、「鼻の調子が悪いこと」「副鼻腔炎」「頭痛」「いびき」「睡眠時無呼吸」を、それぞれ別々の問題として見ていました。そして、その方には下顎がやや後ろへ下がったような、特徴的な顎の形がありました。しかし当時は、アデノイド顔貌という言葉も、幼少期から続く鼻づまりや口呼吸が顎顔面の発育と関係する可能性があることも、十分には知りませんでした。
今回この本を読み、アデノイド顔貌について調べたとき、その患者さんの顔つきや症状が一気によみがえりました。「あの方が、まさにそうだったと断定はできないけれど、もしかすると幼い頃から鼻呼吸がしづらく、長期間の口呼吸が続いていたのかもしれない」
そう考えると、これまで別々に見えていたことが、一本の線でつながったように感じました。もちろん、顎の形や顔つきだけを見て、アデノイド増殖症や過去の口呼吸を判断することはできません。顎や顔の形には遺伝的な要素もあり、睡眠時無呼吸症候群や副鼻腔炎にもさまざまな原因があります。
後鼻漏による咳が、喘息や気管支炎に見えることも
本では、後鼻漏による咳や痰の絡むような呼吸音が、喘息や気管支炎と間違われることがあると述べられています。著者の病院には、慢性的な咳が続き、薬を飲んでも改善しなかった子どもが受診することがあるそうです。そこで鼻の奥にたまった鼻水や痰を医療用の吸引器で吸い取ったあと、再び聴診器で呼吸音を確認すると、それまで聞こえていたゼーゼー、ヒューヒューといった音が消えた経験が何度もあったと紹介されています。
つまり、咳が続いているからといって、原因が必ずしも気管支だけにあるとは限らず、鼻の奥にたまった分泌物や後鼻漏が大きく関係している場合もあるということです。一方で著者は、慢性的な後鼻漏が続いた場合について、現時点で明確なエビデンスが十分にあるわけではないとしながらも、鼻や喉の炎症が長く続くことで、気管支炎や喘息のような下気道の症状へつながる可能性は十分に考えられるのではないか、と述べています。
鼻水の吸引については、「一時的に取ってもまたたまる」「子どもが嫌がるなら、無理にする意味はない」と考える医師もいるようです。しかし著者は、たとえ効果が一時的だったとしても、吸引直後に呼吸が楽になり、子ども自身が安心する様子を何度も見てきたといいます。鼻水は再びたまり、繰り返し吸引が必要になるかもしれません。それでも、つらい状態をそのまま我慢させるのではなく、その場だけでも呼吸を楽にしてあげることには意味がある。それも医療者の大切な役割ではないか、というのが著者の考えです。
もちろん、喘息や気管支炎そのものがある場合や、後鼻漏と喘息が同時に起きている場合もあります。そのため、家庭で呼吸音だけを聞いて判断することはできません。ただ、薬を飲んでも咳が長引く場合や、鼻水や鼻づまりが強い場合には、気管支だけでなく、鼻の奥や後鼻漏まで含めて診てもらう視点も大切だと思います。
本を読んで、わが家で始めた鼻水ケア
この本を読んでから、わが家では据え置き型の電動鼻吸い器と、生理食塩水の鼻用ミストを購入しました。生理食塩水のミストで鼻の中をうるおし、粘り気のある鼻水をやわらかくしてから吸引することを考えています。乳幼児の鼻づまりに対しては、生理食塩水を使用して鼻水をやわらかくし、吸引する方法が一般的な家庭ケアとして案内されています。
また、鼻水吸引は、回数が多ければ多いほどよいわけではありません。鼻の粘膜を傷つけたり、出血させたりしないよう、製品の説明書に従って使用する必要があります。特に、授乳や食事の前、寝る前など、鼻づまりによる負担が大きくなりやすい場面で行うと、子どもが少し楽になる可能性があります。まだ使い始めたばかりなので、実際の使用感については、今後あらためて追記したいと思います。
鼻をかむ前に「鼻からぶくぶく」の練習を

鼻水を自分で外へ出せるようになるには、鼻をかむ練習も大切です。しかし、小さな子どもに、「鼻から息を出して」と伝えても、なかなか理解できません。鼻をかむためには、口を閉じた状態で、鼻から外へ息を出す感覚が必要です。ただ鼻から息を出すだけでは、実際に息が出ているのか、子ども自身にも分かりにくいものです。
そこで、わが家ではお風呂で、「鼻からぶくぶく」の練習をしてみようと思っています。私は以前、水泳のインストラクターをしていました。水泳では、水中での呼吸を自然に行えるようにするための最初の練習として、水の中で鼻からぶくぶくと息を吐く練習をします。
泳いでいるときは、水中で少しずつ息を吐き、顔を水面から上げたときに口から新しい空気を吸います。水の中で息を吐けていないと、顔を上げてから息を吐き、そのあとに空気を吸わなければなりません。これでは、顔を出している短い時間に、うまく息を吸うことができません。また、水の中で息を吐くことに慣れていない子どもは、「息がなくなってしまう」という恐怖から、無意識に息を止めてしまうことがあります。
そこで、まずは泳ぐ前に、鼻からぶくぶくと泡を出すことを練習します。この練習のよいところは、鼻から息が出ると、目に見える泡になることです。ただ鼻から息を出すだけでは、うまくできているのか本人には分かりにくいものです。しかし、水の中では泡が出るので、「鼻から息が出た」ということが、子ども自身にも目で見て分かります。
子どもにとっては、鼻から泡が出ること自体が楽しく、遊びながら自然に鼻から息を出す感覚を身につけられます。これは、鼻をかむときの動作にも共通しています。もちろん、鼻からぶくぶくをしたからといって、風邪が治ったり、鼻水がなくなったりするわけではありません。あくまで、自分で鼻をかめるようになるための、最初の感覚づくりです。
まさか昔の水泳インストラクターとしての経験が、息子たちの鼻水ケアに役立つとは思いませんでした。お風呂で練習するときは、無理に顔を水へ沈めず、子どもが自分から楽しめる範囲で行います。必ず大人が手の届く距離で見守り、嫌がったときは中止します。0歳の息子に積極的に練習させるのではなく、まずは2歳の息子と遊びの一つとして始めてみる予定です。
他にもInstagramで、遊びながら鼻から息を出す感覚を練習できる、とても分かりやすい動画を見つけました。参考までに。
家庭で様子を見ず、受診したい症状
鼻水や咳があっても、機嫌がよく、水分がとれていて、普段と大きく変わらない場合には、家庭で様子を見られることもあります。ただし、次のような状態が見られる場合には、鼻水だけの問題と考えず、医療機関へ相談する必要があります。
・保護者から見て、いつもの風邪と明らかに違う
・呼吸するときに、胸やみぞおち、首の周辺がへこむ
・息が速い、呼吸が苦しそう
・唇や顔色が悪い
・ゼーゼー、ヒューヒューする
・犬が吠えるような咳や、息を吸うときの強い音がある
・水分やミルクを十分にとれない
・尿が明らかに少ない
・何度も吐いている
・ぐったりして反応が悪い
・鼻づまりで眠れない、授乳できない
・高熱が続く
・咳や鼻水が長引き、改善しない
特に乳児は、体調の変化が早いことがあります。受診するべきか迷う場合には、かかりつけの小児科や地域の救急相談へ連絡しましょう。
鼻水ケアは、親子にとって簡単なことではない
本の最後にあった、「鼻水との戦いには、やがて終わりが来る」という言葉は、まさに子育て中の親に向けられた言葉なのだと思います。
今は、何度も鼻水を拭いたり、嫌がる子どもをなだめながら吸引したり、夜中の咳で一緒に目を覚ましたりと、大変に感じることもあります。でも、こうして子どもに手をかけられる時間は、きっと、長いようで本当に一瞬だと思います。
いずれは自分で鼻をかめるようになり、体調が悪いときにも、自分で症状を伝えたり、対処したりできるようになります。そう考えると、少し寂しい気持ちにもなりますが、だからこそ、目の前の子どもに手をかけられる大切な時間として、できるだけ味わいながら過ごしていきたいと思います。






