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第32回 はりきゅう国試 東洋医学臨床論①

問題126 循経感伝現象と関係しないのはどれか。
1.丘疹
2.索状硬結
3.腫脹
4.色素沈着

回答→ 2

【解説】
循経感伝現象(PCS)(または経絡現象)は四肢末梢の主要穴に刺鍼した場合に経絡に沿ってゆっくりと起こる特有の感覚のことである。≒得気と鍼灸療法技術ガイドには書かれていた。
PCSについて教科書を探したが見当たらないが経絡現象であれば教科書にも記載がある。
そこには経絡現象として、 腫脹、熱感といった感覚に加え、発赤、丘疹、痣、色素沈着など様々な反応が出現すると書かれている。

問題 127 頭痛の症状で施術適応となるのはどれか。
1.突然の激しい後頭部痛とともに回転性めまい、起立困難が生じ、反復する嘔吐がみられた。
2.早朝時の後頭部の非拍動性の慢性頭痛が週単位で増悪し、今朝は噴出性嘔吐がみられた。
3.深夜に、流涙・鼻汁を伴う片側の眼窩周囲の激烈な痛みが発作的に生じ、1時間で治まった。
4.感冒症状が治まって、2週間後に前頭部のズキズキとした痛み、熱感、叩打痛とともに後鼻漏が出現した。

回答→ 3

【解説】
1番と2番は、どう考えても緊急を要するような症状である。つまり脳血管障害や脳腫瘍などによる二次性頭痛の恐れが大である。3番は群発性頭痛を疑う症状である。鍼灸の施術対象となりやすい頭痛は一次性頭痛であり、中でも緊張性頭痛は非常に対象となる。片頭痛と群発性頭痛は予防効果として期待される。4番は副鼻腔炎の疑いがあるので施術対象とは言えない。

問題 128 美容を目的に口角を上げやすくするため、大頬骨筋を刺激する経穴として最も適切なのはどれか。

1.顴髎
2.巨髎
3.頬車
4.迎香

回答→ 1

【解説】
筋肉の名前が分かっているので、その筋肉上の経穴を答えればOK。
1.◯顴髎ー(小腸経)大頬骨筋、小頬骨筋
2.巨髎ー(胃経)小頬骨筋
3.頬車(胃経)ー咬筋
4.迎香(大腸経)翼挙筋、上唇挙筋、小頬骨筋

問題 129 関節リウマチによるZ変形の疼痛緩和のため局所への接触鍼を行った。施術部位の経穴として最も適切なのはどれか。
1.魚際
2.二間
3.少沢
4.中渚

回答→ 1

【解説】
関節リウマチによるZ変形(ダックネック変形)は母指のMP関節屈曲、IP関節が過伸展する状態である。よって母指にある経穴を選択すれば良い。

問題 130 過活動膀胱の患者に対する治療で、脊髄排尿中枢を介した治療穴として最も適切なのはどれか。

1.関元兪
2.五枢
3.志室
4.中髎

回答→ 4

【解説】
脊髄排尿中枢はS2-4にあり、体表面では第3後仙骨孔部にある。よって中髎が最も適切と言える。

問題131 C6-C7横突起間に刺鍼することにより、治療効果が最も期待できる神経根障害によるしびれの部位はどれか。

1.前腕橈側から母指
2.手背中央から中指
3.小指球から小指
4.前腕尺側

回答→ 2

【解説】
C6-C7横突起間からはC7神経根が出るので、C7の支配領域を選択すれば良い。

問題132 次の文で示す症例の疾患として最も適切なのはどれか。「28歳の女性。半年前に左上腕から前腕内側にかけて痛みやしびれが出現。荷物を持つと痛みは増悪する。モーレイテスト、エデンテストともに陽性。ジャクソンテスト、スパーリングテストともに陰性。」

1.ギヨン管症候群
2.頸椎症性脊髄症
3.頸椎症性神経根症
4.胸郭出口症候群

回答→ 4

【解説】
モーレイテスト→前斜角筋部を圧迫して、神経を圧迫する検査
意義:胸郭出口症候群(斜角筋症候群)

エデンテスト→ 上肢を後下方に引き下げ手て肋鎖間隙を狭くする検査法
意義:胸郭出口症候群(肋鎖症候群)

ジャクソンテスト→ 頸部をやや後屈し、下方に頭を押す検査法。
意義:頸椎疾患

スパーリングテスト→ 頭部を患側へ倒し、前頭部を圧迫する検査。
意義:頸椎疾患

問題133 次の文で示す症例で、病態把握を目的に実施する徒手検査法はどれか。「50歳の女性。主訴は右手関節橈側の痛みと腫脹。最近家事が忙しく徐々に症状が出現し、特に母指を動かすと強い仏痛がある。」
1.チェアテスト
2.トムゼンテスト
3.ファレンテスト
4.アイヒホッフテスト

回答→ 4

【解説】
1.チェアテスト→ 肘伸展、・回内位で椅子を持つ
意義:上腕骨外側上顆炎

2.トムゼンテスト→ 手首を背屈させ、掌屈抵抗を加える
意義:上腕骨外側上顆炎(他にも中指伸展テストは同意義)

3.ファレンテスト→ 手背どうしをを合わせて手首を最大掌屈
意義:手根管症候群

4.◯アイヒホッフテスト(他動の場合はフィンケルシュタインテスト)→母指と一緒に尺屈する。
意義:ドケルバン病(短母指伸筋・長母指外転筋の狭窄性腱鞘炎)

問題134 次の文で示す症例の施術対象となる神経根で最も適切なのはどれか。「26歳の男性。3か月前から左腰下肢の痛みを自覚するようになった。左のアキレス腱反射減弱と足部外縁から足底にかけての感覚鈍麻を認める。」
1.L3
2.L4
3.L5
4.S1

回答→ 4

【解説】

以下の図を参照

問題135 次の文で示す症例の罹患筋として最も適切なのはどれか。「45歳の女性。半年前から右手の母指・示指掌側にしびれがあり、母指球の萎縮と祈祷師の手を認める。」
1.斜角筋
2.小胸筋
3.円回内筋
4.尺側手根屈筋

回答→ 3

【解説】
問題文からは正中神経の障害が疑われる。特に「祈祷師の手」は正中神経の高位(近位)で麻痺が起きた場合にみられるので、今回は円回内筋症候群が疑われる。(手根管症候群では祈祷師の手はみられない)
1.斜角筋→ 頸・腕神経叢
2.小胸筋→ 内側胸筋神経
3.◯円回内筋→ 正中神経
4.尺側手根屈筋→ 尺骨神経

問題136 次の文で示す症例で運動療法の対象となる筋の疲労緩和を目的に腹臥位で施術を行う場合、局所治療穴として最も適切なのはどれか。「62歳の女性。主訴は膝関節痛。内反膝と大腿前面の筋萎縮がみられたため、患者にパテラセッティングを行わせた。」
1.委中
2.承扶
3.風市
4.膝陽関

回答→ 3

【解説】
パテラセッティングは、膝を伸ばした状態で大腿四頭筋に力を入れたり抜いたりする運動である。主に大腿四頭筋の筋力強化が目的であるので、それに関連する経穴を選択すれば良い。ただ問題文では腹臥位とあるので注意しよう。選択肢の風市は大腿の外側にあり、大腿四頭筋の外側広筋上にあるので、正解は風市である。

1.委中→ 筋肉なし
2.承扶→ 大殿筋、大腿二頭筋長頭
3.◯風市→ 腸脛靭帯、大腿二頭筋長頭、大腿二頭筋短頭、外側広筋
4.膝陽関→ 腸脛靭帯、大腿二頭筋長頭腱、大腿二頭筋短頭腱

問題137 次の文で示す症例で拘縮がみられる可能性が最も高い筋はどれか。「68歳の女性。変形性股関節症による左股関節痛があり、トーマステスト陽性。恥骨結合下縁の高さで縫工筋のすぐ外方陥凹部にある筋に顕著な圧痛がある。エリーテスト陽性。」
1.大腿筋膜張筋
2.大腿直筋
3.長内転筋
4.恥骨筋

回答→ 2

【解説】
各テストを確認しよう。
・トーマステスト
仰臥位で膝を胸に近づける検査方法。
意義:腸腰筋・大腿四頭筋の短縮や拘縮、股関節の拘縮

・エリーテスト
腹臥位で踵を臀部に近づける検査方法。
意義:腸腰筋・大腿四頭筋の緊張や短縮や拘縮、仙腸関節や股関節の拘縮

問題138 次の文で示す症例でみられるのはどれか。「70歳の女性。数年前から動作緩慢になり、現在は丸薬丸め運動も出現してきた。」
1.無汗症
2.歯車現象
3.ガワーズ徴候
4.ホフマン反射陽性

回答→ 2

【解説】
動作緩慢や丸薬丸め運動からパーキンソン病が疑われる。

[パーキンソン病の臨床症状]
●運動障害
・振戦ー安静時振戦である。丸薬丸め運動は振戦の程度が強くなった場合に見られる。
・無動(寡動)ー動作が少なく緩慢になる。仮面様顔貌、小字症、歩幅減少
・筋強剛(筋固縮)ー鉛管様強剛や歯車様強剛がある。
・姿勢反射ー前屈姿勢を呈し、歩行中は前傾姿勢となり徐々に小走りになる。
●自律神経障害
・顔が脂っぽくなる
・起立性低血圧
・便秘
・頻尿
●精神症状
・うつ傾向
・意欲や自発性の低下
・認知症

問題139 顎関節症に対する局所治療穴とその対象となる筋の組合せで最も適切なのはどれか。
1.禾髎-咬筋
2.瘈脈-側頭筋
3.下関-外側翼突筋
4.懸顱-内側翼突筋

回答→3

【解説】
シンプルに経穴と筋肉の組み合わせの問題。
1.禾髎-口輪筋
2.瘈脈-側頭筋
3.◯下関-外側翼突筋、咬筋
4.懸顱-側頭頭頂筋、側頭筋

問題140 改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)にはなく、MMSEにある評価項目はどれか。
1.計算
2.図形模写
3.時間の見当識
4.単語の直後再生

回答→ 2

【解説】
HDS-RとMMSEはどちらも高齢者の認知機能を評価する検査法である。
HDS-Rは記憶力に重点が置かれているのに対し、MMSEは言語機能や空間認知機能も評価されると覚えておけば良い。
また改訂長谷川式簡易認知評価スケールは言語性認知症スクリーニング検査である。つまり口頭での回答だけで検査できるのに対し、MMSEには図形模写などの動作性のテストが含まれる。
その他、過去問にはHDS-Rの検査内容の問題もあるのでチェックしておこう!
HDS-Rの検査PDF

問題141 後骨間神経麻痺で生じるのはどれか。
1.猿手
2.鷲手
3.下垂指
4.尺側偏位

回答→ 3

【解説】
後骨間神経があれば前骨間神経もあるのだが、両者は橈骨と尺骨の間を繋ぐ骨間膜の前後を走る神経である。一緒に覚えておこう。
・前骨間神経
問題135にも出てきた正中神経の分枝である。正中神経が円回内筋を通過したら直ぐに前骨間神経として分枝する。前骨間神経は長母指屈筋と深指屈筋の橈側部を支配するので、障害をある場合、親指と人さし指でOKサインを作らせると、親指のIP関節と人さし指のDIP関節が屈曲不能な為、過伸展となって、涙のしずくサインが陽性となる。合わせて感覚の障害はないことも診断の手がかりとなる。

・後骨間神経(橈骨神経深枝)
肘の辺りで橈骨神経から分岐して回外筋(フローセアーケード)にもぐりこみ、指を伸展する筋肉を支配する。よって障害を受けた場合は下垂指となる。こちらも感覚障害は無い。

※前骨間神経も後骨間神経も感覚神経は含まないので、痛みや痺れは無い。

問題142 三叉神経第2枝の神経痛に対する局所治療穴として適切なのはどれか。
1.曲差
2.陽白
3.四白
4.大迎

回答→ 3

【解説】
三叉神経第2枝は上顎神経である。

参考図:新版 経絡経穴概論 第2版

問題143 六部定位脈診で右手寸口の沈が虚している場合、難経六十九難に基づく配穴で適切なのはどれか。
1.太淵と太白
2.復溜と経渠
3.曲泉と陰谷
4.大都と少府

回答→ 1

【解説】
右手寸口の沈は手の太陰肺経が虚しているということになる。難経六十九難に基づく配穴は「虚すれば、その母を補う」の理論に従って、肺(金)の母にあたるのは脾(土)であるので、
・肺経(自経の)土穴→太淵 
・脾経(母)の土穴→ 大白

※私は表を覚えてしまいました。

問題144 取穴部位が主治症の局所にある奇穴はどれか。
1.寝違えに対する落枕
2.腹痛に対する胆嚢点
3.腰痛に対する腰痛点
4.足背痛に対する八風

回答→ 4

【解説】
1.寝違えに対する落枕→ 手背、第2・第3中手指節関節の間の近位陥凹部
2.腹痛に対する胆嚢点→ 陽陵泉の下約1寸
3.腰痛に対する腰痛点→ 手背、第2・第3および第4・第5中手骨底間の陥凹部の2点
4◯足背痛に対する八風→ 足背、各中足指節関節の間

問題145 次の文で示す病証に対する治療方針として最も適切なのはどれか。「56歳の男性。職場の人間関係のストレスから不眠となり、動悸も感じている。最近は物忘れや腰下肢の重だるさ、歯のぐらつきもある。舌質は紅、脈は数を認める。」
1.肝血を補う。
2.腎陽を補う。
3.心火を除く。
4.肝陽を降ろす。

回答→ 3

【解説】
五志過極によって直接に心火が盛んになり、下へ行かず、腎と交流できなくなって心腎不交となり、心火が亢盛して神明を掻き乱して不眠を招いている。
[キーワード]
ストレスから不眠・動機→ 五志過極で心火亢盛となり、心火が神明の撹乱
物忘れ、腰下肢の重だるさ、歯のぐらつき→ 歯は「骨の余」といわれ腎は骨を主り、髄を生じる。腎陰腎陽が不足すると、歯が抜けやすい、腰膝酸軟・物忘れなどの症状が現れる。
舌質は紅、脈は数は熱証である。

問題146 右足の第1趾と第2趾に慢性的な痛みがある患者に対し、表裏する経脈を同時に治療する目的で用いる要穴として最も適切なのはどれか。
1.行間
2.公孫
3.衝陽
4.中都

回答→ 2

【解説】
表裏する経脈を同時に治療する目的で用いる要穴は絡穴である。また慢性的な痛みにも絡穴を用いるとされる。痛みの経脈は第1趾と第2趾なので脾経(公孫)もしくは胃経(豊隆)の絡穴を選択すれば良い。

問題147 足陽明経の経脈病証でみられるのはどれか。
1.口が歪む。
2.口が苦い。
3.口が乾く。
4.口が熱い。

回答→ 1

【解説】

問題148 次の文で示す病証に対する十二刺として最も適切なのはどれか。「45歳の男性。仕事のストレスでのぼせ感が続く。最近はイライラして気持ちがたかぶり眠れない日が多くなっている。舌尖は紅、脈は数で有力を認める。」
1.輸刺
2.陰刺
3.斉刺
4.揚刺

回答→ 1

【解説】
患者は肝火上炎証である。気が盛んで内熱がある場合の十二刺は「輸刺」を使う。

問題149 次の文で示す病証に対する治療方針として最も適切なのはどれか。「51歳の男性。主訴は動悸。特に食後に起こることが多い。胸悶、息切れを伴う。腹診では胃部振水音を認めた。」
1.血を補う。
2.陰液を補う。
3.痰湿を除く。
4.瘀血を除く。

回答→ 3

【解説】
主訴は動悸で病は心にあるが、食後に起こることがあることから脾胃にも何らかの原因があると考えられる。
腹診では胃部振水音を認め、これは胃中停飲(胃内停水)を表し、水飲や痰飲が疑われる。また消化機能の低下を反映していることもある。
胸悶とは前胸部の不快感や息苦しさのことで、心や肺が虚すことで起こることが多いが、この場合は水飲内停による可能性が高い。
以上のことから、主訴の動悸は痰飲によって起きたものだと考えられる。

問題150 次の文で示す病証の状態として最も適切なのはどれか。「52歳の男性。日頃から辛い物やアルコールを摂り過ぎたため、口渇が強く、みぞおちに灼熱感があった。その後、空腹感はあるが食が進まなくなってきた。舌質は紅、無苔、脈は細数を認める。」
1.胃熱が血を滞らせている。
2.胃熱が胃の津液を損傷している。
3.湿熱が疏泄機能を障害している。
4.湿熱が膀胱を熱化させている。

回答→ 2

【解説】
「日頃から辛い物やアルコールを摂り過ぎたため、口渇が強く、みぞおちに灼熱感があった。」この状態は胃熱(胃鬱熱)であり、そこから病は発展し、空腹感はあるが食が進まなくない(食少という)、舌質紅、無苔、細数脈は胃陰虚の症状である。つまり胃熱が胃の津液を損傷(胃陰消耗)して、胃陰虚となった。

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koji尊敬する人はルパン3世
2015年、大阪の心斎橋にトレイン治療院を開業。現在は中医学を少しずつ学び中です。 趣味は、中国語、中医学、投資(日株・米株・先物)、映画(marvel love)、お笑い(くだらない系love)、AbemaTV(論破系love)、キャンプ、フルート、水泳、そして今の仕事です。基本的にミーハーです。
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