知ればもっと使える、毎日のツボ。
鍼灸師・国際中医専門員である筆者が、昔から受け継がれてきたツボの効能・効果、名前の由来、場所、押し方、ちょっと意外な豆知識までわかりやすく紹介します。肩こりや頭痛、疲れ、胃腸の不調など、日々のセルフケアに。毎週ひとつ、あなたの身体に役立つツボを覚えてみませんか?
内関 手の厥陰心包経のツボ(絡穴)
今回の「今週のツボ」は、手首の内側にある内関(ないかん)です。乗り物酔いや吐き気のツボとして聞いたことがある方もいるかもしれません。でも実は内関は、胃のムカつきだけでなく、胸のつかえ、動悸、不安感、腕の痛みなどにも古くから使われてきた、とても守備範囲の広いツボです。
効能・効果
吐き気、嘔吐、乗り物酔い、胃の不快感、胸のつかえ、動悸、不安感、不眠など
1.吐き気・胃の不快感
胃のムカつき、吐き気、嘔吐などに古くから用いられてきました。
2.胸のつかえ・動悸
内関は手厥陰心包経に属するツボで、胸苦しさや動悸などにも使われます。
3.気持ちが落ち着かないとき
不安感、緊張、不眠など、「心」が落ち着かない状態にも用いられてきました。
中国の中医薬情報資料でも、内関の主治として胸悶、心痛、胃痛、嘔吐、しゃっくり、不眠などが挙げられています。
名前の由来
「関」は、文字通り関所・関門の「関」です。身体の内側を守る関所のような場所、という意味合いから「内関」と呼ばれるようになったとされています。さらに内関は、手厥陰心包経の絡穴(らくけつ)であり、八脈交会穴のひとつでもあります。少し難しい言葉ですが、簡単にいうと、胸や胃、心の働きに関わる重要な交差点のようなツボとして、昔から大切にされてきたということです。
ツボの場所

内関は、手首の内側にあります。手のひらを上に向けて、手首の横じわから肘の方向へ2寸。その場所に、手首を曲げたときに浮き出る2本の腱があります。長掌筋腱と橈側手根屈筋腱の間にあるのが内関です。中国の中医薬情報資料でも、手首の掌側横紋から上2寸、2本の腱の間とされています。
豆知識|「乗り物酔いのツボ」は、かなり研究されている
内関で面白いのは、伝統的に使われてきたツボというだけでなく、現代医学でもかなり研究されていることです。研究では「PC6」という名前で登場します。特に多いのが、吐き気・嘔吐についての研究です。
たとえば手術後の吐き気・嘔吐に対するPC6刺激については、Cochraneのレビューでも長く検討されてきました。2025年の更新版では、鍼・指圧・電気刺激などさまざまなPC6刺激法について比較が行われています。
つまり、「内関は吐き気に使うツボ」という昔からの使い方が、現代になって実際に研究テーマとして何度も検証されているわけです。これはなかなか面白いところです。もちろん、内関を押せばどんな吐き気でも必ず止まるという意味ではありません。ただ、ツボの世界では珍しく、内関はセルフケアとしての指圧まで含めて研究されてきた経穴のひとつです。
化学療法に伴う吐き気・嘔吐や、術後の吐き気についてもPC6刺激の研究があります。 「昔から使われてきたから」だけではなく、現代になっても研究され続けているツボというのが、内関の面白さです。
ツボの押し方
内関は、自分でもかなり押しやすいツボです。手のひらを上に向けます。手首の横じわから、指3本分ほど肘側へ。中央にある2本の腱の間を探してみてください。見つけたら、反対の手の親指で、
3〜5秒ほどゆっくり押す → 力を抜く
これを3回程度繰り返します。
痛いほど強く押す必要はありません。乗り物に乗る前や、少し胃がムカムカするとき、緊張して胸のあたりが落ち着かないときなどに試してみてください。手首にあって押しやすく、場所も覚えやすい。「ちょっと気持ち悪いな」というときに思い出してほしいツボが、内関です。
セルフケアをしても不調が続くときは
痛みや身体の不調は、症状が出ている場所だけを見れば分かるとは限りません。
トレイン治療院では、鍼灸・マッサージ・整体を組み合わせながら、身体の動きや筋肉の緊張、姿勢、生活習慣なども確認し、その方に合わせて施術しています。
「自分の場合は何が原因なのだろう?」
「セルフケアをしているけれど、なかなか良くならない」
という場合は、お気軽にご相談ください。






