おしらせ
今日のブログ
毎日の試験勉強から解放されれば、また再び毎日のようにブログを書くのだろうと思っていた。
しかし、一度手放した習慣というのは、意外と簡単には戻ってこないものだ。
そんなことを思いながら、書くつもりのなかったブログを、なんとなく書き始めてみた。
すると、不思議なことに書き出した途端、言葉はスラスラと出てくる。
今日は、ブログというより、ただの“読み物”かもしれない。
感じたことを、素直に書いてみた。
ではいってみよう。
小さな幸せを受け取る才能
―妻と、母と、そして僕がつくる世界の物語―
帰りの電車に乗る直前のホーム。
冷たい風が足元を抜けていく。
最近は、ほんとに、急に冬が来たよな。
そんなとき、妻から電話が鳴った。
「めっちゃしょうもないことやねんけど…
楽しみすぎて電話したんやけど、言っていい？」
声のトーンで分かる。
あぁ、これはきっと“良い話”だ。
「今日な、家でサムギョプサルしても良いってお母さんが言ってくれてーん。」
ただそれだけ。
けれど、その“ただそれだけ”が
僕の胸をふわっと温めた。
妻はもともと、誰かを思いやる気持ちが強く、
その優しさゆえに
“こうでなきゃいけない”という正しさで
自分を縛ってしまいやすい人だ。
昔、母が軽い気持ちで
「アヒージョ？油飛ぶんちゃうの〜？」
と言ったことがあった。
その一言が、妻の中では
“油料理は禁止”という大きなルールになってしまった。
気遣いが豊かなぶん、
自分の楽しみを遠慮で消してしまう場面も多かった。
嫁と姑の価値観がぶつかり、
うちで大喧嘩になった日だってある。
今思えば笑えてくるほど激しかったけれど、
あれは誰かが悪かったのではなく、
どちらも自分の正しさを守ろうとした結果だった。
けれど最近、妻はどこか変わった。
怒らない。
愚痴らない。
そして、小さな幸せにすぐ気づく。
なんでだろう？と思っていたけれど、
それが少しずつ分かってきた。
僕自身の中にあった
“こうでなきゃ”という思い込みがゆるんできたからだ。
心の中の固いものがふっと柔らかくなると、
見える景色も変わる。
その変化は僕だけのものではなく、
家族の空気にも自然と伝わっていく。
駅に着くと、妻が車で迎えに来てくれていた。
そのまま、妻が栽培している農園へと一緒に向かう。
畑に到着すると、土の匂いがして、
昼の柔らかい光が野菜たちを明るく照らしていた。
もう１２月でも、太陽の下はまだ暖かい。
畑に着くなり、妻は
「こっち来て！」
と子どものように嬉しそうに駆け寄り、
自分の植えた野菜たちをひとつひとつ、
目を輝かせながら紹介してくれた。
「これが白菜やで！」
「この子はミニレタス！」
「玉ねぎ、こんなにもあるねんで！」
その無邪気さが、
異常なほど愛くるしく思えた。
ブログ用に全体の写真を撮ろうと少し離れたが、
隣に誰もいないのに、妻は存在しない誰かに向かって
ずっと楽しそうに喋り、野菜の紹介を続けていた。
小さな幸せを全力で受け取れる才能。
そんな大人に出会えることって、
どれだけ尊いことなんだろう。
思えば妻は、
嫁姑問題や正しさとの衝突で
しんどさを抱えた時期を
ちゃんと通ってきた人だ。
だからこそ、今のこの軽やかさは
ただの“性格の変化”ではなく、
深みのある笑顔なのだと思う。
嫁姑で悩む人は、世の中にたくさんいる。
もしそんな人たちが、
今日の妻のように“小さな喜び”に気づけたなら、
きっと心がふっと軽くなる瞬間が増えるだろう。
だから本気で思った。
いつか妻には、
「嫁姑を楽に生きる本」を書いてほしい。
あの視点があれば、
救われる人がきっといる。
そして最近、僕は少しだけ思う。
妻も、父も、母も、息子も。
そしてそこに起きる出来事までも——
外側にあるように見えて、
実は僕の内側がつくり出している
“現実”なんじゃないか、と。
言わば、マトリックスの世界観だ。
もしそうなら、
今日の無邪気な電話も、
畑での喜びあふれる時間も、
過去の大喧嘩ですらも、
ぜんぶが“今の僕”に必要な景色だったのかもしれない。
その景色の中心に、
小さな幸せを受け取る才能をもった妻 がいる。
それって、
僕という世界が生み出した
最高の“宝物“なんじゃないだろうか。
end。
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