東洋医学臨床論
次の文で示す患者の病証に対する治療方針として最も適切なのはどれか。
「36歳の女性。主訴は咳嗽。せき込むと粘稠で白色の痰を多量に喀出する。緩解と増悪を繰り返しながら3年が経過している。子どもの頃から食が細く、痩せている。舌は淡、白膩苔、脈は滑を認める。」
1 風寒の邪を取り除く。
2 瘀血を取り除く。
3 肺陰を補う。
4 運化を高める。
回答→4
【解説】
ポイントを見ていこう。
・主訴は咳嗽。せき込むと粘稠で白色の痰を多量に喀出する→ 肺に病位あり。
・子どもの頃から食が細く、痩せている→ 体質は脾虚
・白膩苔、脈は滑→ 痰湿
脾気虚→ 痰湿発生し脾虚湿盛に→ それが肺に影響し痰湿阻肺に移行したと考えられる。
原因は脾の運化の低下により、痰湿が発生しているので、答えは④が最も適切といえる。
1 風寒の邪を取り除く。
風寒犯肺の治法。風寒犯肺は表証であるが、その症状はみられない。風寒表証(外感表証)であれば症状に悪寒、発熱、頭身痛、無汗、浮脈、舌苔薄白などが出現する。また問題文には風寒の邪に侵襲されたような記載もないので除外できる。
2 瘀血を取り除く。
血瘀を治法である。血瘀の症状は見られない。
[血瘀症状]
固定痛、刺痛、腫脹、紫舌、肌膚甲錯、月経痛など
3 肺陰を補う。
肺に関係するので引っかかりそうであるが、肺陰虚による咳嗽であれば、乾咳か喀痰は少量となるはずである。また陰虚となれば虚熱の症状もありえるが、問題文には無いので除外できる。
4◯運化を高める。