東洋医学臨床論
次の文で示す患者の病証に対し、八脈交会穴の配穴に基づき、手関節近傍の経穴に刺鍼した。もう一か所の刺鍼部位として最も適切なのはどれか。
「50歳の男性。主訴は上腹部痛。胸やけと悪心もある。」
1 足内側、第1中足骨底内側の遠位陥凹部
2 足外側、外果尖の直下
3 足内側、内果尖の下方1寸
4 足背、第4・第5中足骨底接合部の遠位
回答→1
【解説】
奇経を使った奇経療法に関する問題である。奇経療法には、手足にある上下2穴の主治穴を組み合わせる方法がある。以下のざっくりした表を覚えておくだけでも、簡単に解ける問題である。また奇経の病証を覚えていても解ける。
(以下の表は必須で暗記した方が良い!)
「上腹部痛。胸やけと悪心」ということで陰維脈の病証と考えられる。陰維脈は内関が八脈交会穴となり、セットで使うのは衝脈の八脈交会穴の公孫である。
1 足内側、第1中足骨底内側の遠位陥凹部ー公孫
2 足外側、外果尖の直下ー申脈
3 足内側、内果尖の下方1寸ー照海
4 足背、第4・第5中足骨底接合部の遠位ー足臨泣
[奇経の特徴もおさえておこう!]
・奇経には奇経を治療する主治穴(八脈交会穴、宗穴)が存在する。
・奇経は臓腑を絡わない。
・奇経同士で表裏関係になることはない。
・奇経のうち督脈と任脈のみ固有の経穴を持つ。
・十二経脈の2つ以上の経脈をまたぐ。