公衆衛生学
運動により減少することが期待されるのはどれか。
1.心拍出量
2.最大酸素摂取量
3.末梢血管抵抗
4.インスリン感受性
【解説】
公衆衛生学なので、「運動と健康」の意義を理解しているかを問う問題と思われる。つまり運動をする事によって、その後、どのように健康に繋がるかということである。(運動中の生理的な減少を問われてる訳ではないので注意)
[主な運動の効果]
ウォーキングやジョギングなどの全身持久性の運動 (有酸素運動)の継続は、中性脂肪 (TG)、遊離脂肪酸(FFA)、コレステロール (C)などの濃度を適切に保つ。とくに運動強度が低い運動を続けると、脂肪は運動のエネルギー源としてよく使用されるので、余分な体脂肪が除去され、体重は減少するが、筋肉量は運動によりよく維持される。また、適度の持久性運動により善玉の高比重リポ蛋白コレステロール(HDL―C)が増加する。HDLコレステロールは悪玉のコレステロール 〔低比重リポ蛋白コレステロール(LDL―C)や超低比重リポ蛋白コレステロール(VLDL―C)〕 を血管壁から肝臓に運んで処理するので、血管のアテローム変性や動脈硬化の進展が防止されて血流がよくなる。したがって、血管の若返りが期待できるので、運動は老化の防止に有用と考えられる。全身持久性の運動により筋肉などの末梢組織におけるインスリン感受性が亢進し、グルコースの取り込みが増大して血糖値が低下、インスリンの必要量が節約できる。また筋力や筋持久力も増大する。さらに、運動により肺からの酸素摂取効率がよくなりVO₂max(最大酸素摂取量)が増加するので、心容積も増大して心拍出量を増加し、運動により心肺機能が改善される。末梢循環が改善し、末梢血管抵抗も減少して血圧は低下する。
引用:東洋療法学校協会 衛生学・公衆衛生学
※末梢血管抵抗
血管内で起こる血流の流れへの抵抗のことである。血管の中の血液の流れやすさと思えば良い。なので、血管収縮や血流量増加によって血管抵抗は高まる。因みは血圧(BP)は「心拍出量(CO)×全末梢血管抵抗(TRP)」で決まるため、血圧は心拍出量と全末梢血管抵抗に比例する。よって運動時には心拍出量は増加するので、末梢血管抵抗も増加する。
※インスリン感受性(インスリン抵抗性)
インスリン とは、膵臓のランゲルハンス島のβ細胞から分泌され、血糖を低下させる作用のあるホルモンである。つまりインスリン感受性が低下するとは、インスリンの効きが悪くなっているということ。
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