東洋医学臨床論
次の文で示す症例について、2つの問いに答えよ。
「25歳の男性。3か月前から膨満感を伴う上腹部痛、嘔気が続く。症状はストレスで増悪、噯気で軽快する。下痢はない。舌は薄黄苔、脈は弦を認める。」
問題① 病証として最も適切なのはどれか。
1.肝胃不和
2.肝脾不和
3.脾腎陽虚
4.脾胃湿熱
問題② 上腹部痛の性質として最も適切なのはどれか。
1.酸痛
2.脹痛
3.重痛
4.隠痛
①回答→1
②回答→2
②回答→2
【①解説】
患者は、情志の失調(精神的ストレス)により肝気が鬱結し、それが胃に横逆することにより胃の機能が障害されている状態で、肝胃不和証(肝気犯胃証)と考えられる。
※噯気
げっぷのことで噫気ともいう。噯気は胃気上逆によるもので、呑酸や胃院部の膨満感を伴うものは食滞胃脘、音がはっきりして頻繁に出るものは肝気犯胃、低い音で臭いもなく、食欲減退を伴うものは中気不足が考えられる。
因みにだが、肝胃不和などによって胃の腑の異常が陽明経脈に波及した際、胃経の熱を呈することがあり、この場合には足趾の2〜4趾の部分が他の足指に比して高温になる。
【②解説】
本証は中焦の気滞による腹痛なので、脹痛である。
1.酸痛
だるい感覚を伴う痛。原因は気血不足や湿邪が経脈に滞ることなど。
2.◯脹痛
脹った感じの痛み。部位によっては膨満感を伴う。気滞によるものが多く、胃院部の脹痛は中焦の気滞、脇肋部の脹痛は肝鬱気滞が考えられる。
3.重痛
重だるい痛み。頭部や四肢、腰部によく見られる。原因は湿邪によって気血の運行が滞ることが多い。
4.隠痛
我慢できる程度のはっきりしない痛み。痛みが出たり出なかったりする。虚証によるものが多い。
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