東洋医学臨床論
次の文で示す症例について、問いに答えよ。
「29歳の女性。主訴は不眠。寝付きが悪い。起床時には四肢がだるい。足の冷えがあり、生ものを食べると下痢をしやすい。舌は淡白で胖大、脈は濡を認める。」
①・病証として最も適切なのはどれか。
1 肝血虚
2 心気虚
3 脾陽虚
4 腎気虚
②・病証に対する治療穴で最も適切なのはどれか。
1 太衝
2 太白
3 神門
4 太渓
①回答→3
②回答→2
②回答→2
【①解説】
国試的には冷えの所見(足の冷え、下痢、淡白舌、胖大舌)がある時点で陽虚を一発選択すれば良いので、選択肢では脾陽虚が適切と簡単に導けるが、それでは他の問題に対応できないので詳しく考えてみよう。
[キーワード]
・不眠、寝つき悪いー心
・四肢だるさー脾
・冷えー陽虚
・生もので下痢ー脾陽虚(生物は脾陽を損傷しやすい)
・淡白舌ー気血不足、寒証
・胖大舌ー陽虚、痰湿の停滞
・濡脈ー湿証、虚証
私の考えでは、患者は脾気虚から脾陽虚に進展。脾は血を生む源であるので脾虚によって新血を生み出せず血不足となり心を養えずに不眠が起きていると推測した。つまり心脾両虚証(心血虚+脾気虚)である。
【②解説】
各経絡の原穴が選択肢にあるので、ここでは脾に対する治療が本治であるので太白が最も適切といえる。