臨床医学各論
低体温が持続的にみられるのはどれか。
1 バセドウ病
2 甲状腺クリーゼ
3 アジソン病
4 クッシング症候群
【解説】
1 バセドウ病
甲状腺機能亢進症は,代謝亢進および血清遊離甲状腺ホルモンの上昇を特徴とする。症状は多数あり、頻脈、疲労、体重減少、神経過敏、振戦、甲状腺の腫れ、眼球突出などが現れる。その他でバセドウ病に伴う病気には甲状腺クリーゼ、甲状腺中毒性周期性四肢麻痺、高血糖、骨粗鬆症、粘液水腫(圧痕が残らない浮腫)などがある。甲状腺機能低下症であれば低体温はみられる。
[補足]
甲状腺機能亢進症は、バセドウ病、プランマー病、下垂体腺腫などにより起こる。自己免疫機序により甲状腺がびまん性に腫大し甲状腺機能亢進症を呈する疾患をバセドウ病と称し、それ以外の原因のものを甲状腺機能亢進症という。
2 甲状腺クリーゼ
甲状腺クリーゼは、バセドウ病を代表として甲状腺機能が過剰になる病気を基礎に発症する病態である。高熱、頻脈、多量の発汗、下痢、精神混乱などをきたす。
3◯アジソン病
アジソン病は、副腎に病変が発現し、慢性副腎皮質機能不全で副腎皮質ホルモンが総合的に不足する病態である。コルチゾル不足による低血糖、低血圧、低体温、易疲労感、アルドステロン不足による低ナトリウム血症、高カリウム血症、副腎アンドロゲン不足による月経異常などを呈する。またATCHは増加するために色素沈着も起こる。(ACTHはメラニン細胞刺激ホルモンを含むため)
4 クッシング症候群
クッシング病は下垂体性ACTH分泌亢進症である。コルチゾールが増える原因はいくつかあり、クッシング症候群の中でも、下垂体からACTHが過剰に分泌されることで副腎が刺激されコルチゾールが過剰に分泌されたものをクッシング病という。
※因みに総論的な話になるが、一般に体温が37°C を超えるときを発熱という。37.0〜37.9°C の発熱を微熱、39.0°C 以上を高熱、41.5°C 以上を過高熱、36.0°C 未満は低体温とされる。 |