東洋医学臨床論
「45歳の女性。主訴は倦怠感。1か月前より強くなった。寒がりで、動作が緩慢である。食欲低下、便秘、月経過多、徐脈を認める。」
最もみられる身体所見はどれか。
1 体重減少
2 圧痕が残る浮腫
3 深部反射亢進
4 頸部腫脹
回答→4
【解説】
問題の病態からは甲状腺機能低下症が疑われる。頸部腫脹は甲状腺機能亢進症の方で出現するようなイメージだが、どちらの病態でも腫れることはあるし、また必ずしも腫れるものでもない。
1 体重は減少増加する。
2 圧痕が残らない浮腫(粘液水腫)となる。粘液水腫は皮下でのムコ多糖類の沈着によるもので、通常の浮腫とは異なり、押しても指圧痕を残さない硬い浮腫である。これは甲状腺機能亢進症でも見られる。
3 深部反射(腱反射)は弛緩遅延となる。これは甲状腺ホルモンの不足している筋細胞では水、Na+、Ca+などの排出が遅れるため、筋細胞の収縮は正常に出来ても弛緩に時間がかかってしまうのである。
4◯頸部腫脹が見られる