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「漢方って効かないよね?」という誤解〜“なんとなく効いてる気がする”は、実は効き始めの合図です〜

漢方薬を飲んだことがある方は、こんな経験された事はありませんか?

「効いた! ってほどじゃないけど、なんとなく効いた気がする‥。」

実はこれ、めちゃくちゃ重要な感覚なんです。
なのに、ここで損する人がいます。

「なんとなく」
   ↓
「つまり、気の持ちよう?」
   ↓
「じゃあ飲まなくてもいっか。」

あ〜、非常にもったいない😞

今回はこの“なんとなく”の正体を言語化しながら、

  • どれくらいで効いてくるの?
  • どのくらいの期間飲めばいいの?
  • 飲むタイミングは?
  • 医療用の漢方と漢方薬局の漢方の違い
  • 漢方×鍼灸の相乗効果はあるの?

をまとめます。

西洋薬って、わかりやすいんです。
熱が下がる、痛みが止まる、咳が止まる。
いわゆる“火消し”。

一方、漢方が得意なのは「火消し」だけじゃなくて、もっと背景側で、

  • 症状が起きやすい土台
  • バランスの崩れ
  • 生活の負荷に耐える力

こっちに働きかけることが多いんです。

だから、最初に変わるのは主訴(いちばん困ってる症状)じゃなくて、周辺のことがよくあります。

たとえばこんな順番↓。

  • 寝つきが良くなった
  • 途中で起きる回数が減った
  • 朝のだるさが軽い
  • お通じが安定してきた
  • 冷えがマシ
  • 気分の落ち込みがいつもより浅い

→ その結果、主訴(頭痛・肩こりなど)が“じわじわ”軽くなる。

だけど、この「じわじわ」を、こう解釈しがちなんです。

「これって…気のせい?」

ちゃうんです!(違うんです!)

気のせいで済むなら、みんな毎日気のせいで元気になれるはずです。

もちろん、安心感や期待が体に影響することはあります。

でも、ここで短絡的に

「気の持ちようっぽい=漢方の効果じゃない」

にしちゃうのは早いです。

体の変化って、だいたいグラデーションで、

  • 0→100 みたいな変化は稀
  • 5→15→30 みたいに上がることが多い

だから、最初に「なんとなく」を感じたら、むしろこう考えてほしい。

効き始めの前兆かもしれない。

ここでやめると、もったいない。

ざっくり二つに分かれます。

① 早いタイプ(数回〜数日で変化が出ることも)

急性の胃腸不調、寝つき、こむら返り、張り感など。
「今の状態」に合うと早いです。

② 時間がかかるタイプ(2週間〜数か月)

慢性疲労、冷え、むくみ、自律神経のゆらぎ、肌・生理トラブルなど。
背景を整える分、ゆっくりになりがち。

患者さんには、だいたいこんな目安で話します。

  • 1〜2週間:方向性チェック(合ってるかどうか)
  • 1〜3か月:体感がまとまりやすい
  • 3〜6か月:土台の底上げが見えやすい

そして大事なことは、漢方は「ずっと飲み続ける」が正解とは限らないです。
整ってきたら、減量・変更・終了(卒業設計)も普通にあります。

一般的には「食前/食間」が多いです。
“食間”って「食事中」ではなくて、食後2〜3時間の、胃が空っぽ寄りの時間のことです。 

では、なぜ空腹時がいいのか。
理由は大きく2つあります。

西洋医学っぽい理由と、東洋医学っぽい理由で説明しましょう。

西洋医学っぽい理由要は「食べ物が邪魔をしにくい」から

漢方薬(特にエキス顆粒)は、いろんな成分の集合体です。

胃の中に食べ物があると、単純に

  • 胃の中で混ざって“通過が遅れる”
  • 食物と一緒だと吸収のスタートが遅れる/ばらつく
  • 食べ物や他の薬と同時だと相互作用の可能性が増える

みたいなことが起きやすい、と考えられています。
実際に「空腹時のほうが吸収されやすい」「食事との相互作用を避けやすい」といった説明は、漢方の啓発資料やメーカーFAQでも繰り返し出てきます。 

ただ、ここは正直な話、「食前/食間が絶対に優れている」と決着がついているわけではない、という指摘もあります(処方による・エビデンスが限定的、という意味)。 

だからこそ現場では「原則は食前/食間。でも続けられる形が最優先」という運用になりやすいんです。

東洋医学っぽい理由:胃腸が“受け取れる状態”のほうが入りやすい、という考え方

東洋医学の言葉で言えば、食事は胃腸(脾胃)にとって“仕事”です。

食べ物が入っている時は、消化吸収という大仕事の真っ最中。

そこに薬を入れるより、胃腸が落ち着いている時(空腹寄り)のほうが、薬のはたらきがスムーズに発揮されやすい——というのが、昔からの感覚です。
(要は“受け取る側の状態”の話です。)

じゃあ結局、いつ飲むのが正解?

一番伝えたいのはコレです。

理想の時間にこだわって飲まないくらいなら、続く時間に固定するほうが強い。

飲み方って、意外と「成分」より「継続」で差がつきます。
しかも漢方は“じわじわ型”も多いので、飲んだり飲まなかったりが一番もったいない。

なので私のおすすめは、

  • 基本は 食前(食事の30分前くらい)食間(食後2〜3時間) 
  • でも 胃が弱い人/飲み忘れる人は、食後でもOKにして続ける(主治医・薬剤師に相談しつつ)

この考え方です。

実際、アドヒアランス(飲み続けやすさ)を優先して、あえて食後を勧める、という臨床側の話もあります。 

因みに、エキス顆粒は、お湯に溶かして飲むと飲みやすい&体感が掴みやすい人もいます(“煎じに寄せる”イメージ)。
日本東洋医学会の啓発でも、エキス剤はお湯で溶くのが勧められています。

ここは、誤解が多いところでもあり、質問も多いです。

「医療用(保険)の漢方は安い=弱い」

みたいに見られがちですが、話はもう少し複雑です。

むしろ医療用漢方って、“コスパ良すぎ”なくらい優秀な場面も普通にあります。

じゃあ何が違うのかというと、薬の優劣というより “運用の違い” です。

医療機関では、限られた診療時間の中で「今いちばん困ってる症状」に対して、適切で安全な処方を選びます。

保険診療は、初診料・再診料といった枠の中に、基本的な診察や医療提供に必要なコストが“まとめて評価”される仕組みです。だから一人に20〜30分を毎回フルで割く運用は、現実的に難しくなりやすい。

一方で漢方薬局は、かなり時間をかけて

  • 生活リズム
  • 食事、睡眠
  • 便通、冷え、汗
  • 気分の波
  • 月経や季節の変動

など、“背景”を深掘りして、体質に寄せて組み立てることが多い。

つまり、薬局の強みは 「当てにいく精度を上げる」 ところにあります。

医療用漢方は、基本的に「決まった処方(エキス製剤)」を選んでいきます。

もちろん組み合わせや変更はできますが、構造上、“細かい微調整”はやりにくいこともあります。

薬局だと、煎じや調剤で

  • 胃腸が弱いから少しマイルドに
  • のぼせやすいからここを抑える
  • 季節で症状が変わるから配合を変える

みたいな 加減(さじ加減) がしやすい。

ここが「効き方が違う」と感じる一番の理由になりやすいです。

医療用エキス製剤は、手軽で続けやすい。これが強いです。

忙しい人ほど、ここが最重要になります。

逆に煎じは、体感が分かりやすいと感じる人もいますが、手間は増える。

「忙しい→作れない→飲めない」になると、そっちのほうが強烈に効きません(笑)

だから結論は、どっちが上じゃなく、“どっちが今の自分に合うか”。

医療用は「手軽に続けられて、ハマると強い」

薬局は「深掘りと微調整で、当たりを作りやすい」

といったところでしょうか。

漢方薬局の漢方が月に数万円になることがあるのは、単に「保険が使えないから」だけではなく、運用コストが価格に含まれているからです。

時間をかけた問診・評価、体質や季節変動を見ながらの調整、そして生薬の仕入れや品質の目利き——こういう“手間ひま”がそのまま価値になります。

医療機関が同じ密度で毎回それをやろうとすると、保険診療の枠組み上、どうしても回らなくなる。 

つまり薬局の価格は、「薬代」だけでなく “当てにいく精度を上げるための運用費” が含まれている、という理解がいちばんフェアです。

病院の漢方処方は、現場の運用として「症状・病名から方剤を選ぶ」形になりやすいことがあります。こうした考え方はよく 「病名漢方」 と呼ばれます。
一方で、体質や全身の状態(=証)を立てて処方を組み立てるやり方は 「随証治療」 と言われ、中医学寄りの表現だと 「弁証論治」 に近い考え方です。

もちろん、病院でも随証で丁寧に組み立てる先生はいますし、漢方薬局でも流派やスタイルは様々です。
ただ、保険診療の現場では「短い診療時間の中で、安全に、標準的に」診療を回す必要があるため、結果として病名漢方的な組み立てが増えやすい――というのは起きがちな構造だと思います。

また「医師は学校で東洋医学を全く学ばない」というのも、今の状況としては少し違います。
現在は、漢方を含む東洋医学の内容が 医学教育のモデル・コア・カリキュラム に盛り込まれており、学生が触れる機会そのものは増えてきています。
ただし現実には、大学や教育環境によって学ぶ深さや臨床経験には差が出やすく、結果として“得意な先生/そうでない先生”の幅が大きくなりやすい、という面もあります。

だからこそ、病院の漢方と漢方薬局の漢方は「どちらが上か」ではなく、症状の性質・必要な調整の細かさ・フォローの密度によって、向き不向きが出る——この見方がいちばんフェアだと思います。

結論から言うと、私はこの組み合わせはかなり相性がいいと思っています。

理由は「足し算」ではなく、うまくハマると掛け算になりやすいからです。

誤解されやすいので先に言っておくと、鍼灸は「その場の痛みを取るだけ」のものではありません。

もちろん即効性を感じやすい場面はありますが、続け方や刺激の設計によっては、身体が過剰に反応してしまう“クセ”(緊張しやすい、眠りが浅い、冷えやすい、胃腸が乱れやすい…など)に対しても、少しずつ変化が出てくることがあります。

つまり、私の感覚では鍼灸漢方もどちらも「体質」に関わる。
ただ、アプローチの入口が違うんです。

漢方は、内側から“材料と巡り”を整えていくのが得意です。
胃腸や睡眠、冷え、体液の偏りなど、背景側に働きかけて「戻りにくさ」を作りやすい。

鍼灸は、身体のスイッチ(神経・筋緊張・循環など)に介入して、反応の方向を変えたり、回復モードに入りやすい状態を作ったりするのが得意です。

だから併用すると、「整える」と「動かす」が噛み合って、変化が立ち上がりやすくなります。

肩こりや頭痛って、鍼灸で軽さが出やすい症状の代表格です。施術直後に「首が回る」「目が開く」みたいな体感が出ることも多い。

でも問題は、その後に戻ってしまう人がいることです。忙しい週、冷えた日、寝不足が続いた日。そういうタイミングで一気にぶり返す。

このタイプは、痛みそのものより「戻りやすい背景」が残っていることが多いです。眠りが浅くて回復できていない、冷えやむくみで循環が落ちている、胃腸が弱って“エネルギーが作れない”、ストレスで交感神経が張りっぱなし…こういう土台があると、鍼で一度ゆるんでも戻りやすい。

ここで漢方を併用すると、狙いが「痛みを消す」から「戻り方を変える」に移ります。

患者さんの言葉が、「楽になった」から「前みたいにドカンと来ない」「波が小さくなった」に変わってきたら、これは体質というより“身体の反応パターン”が変わり始めたサインです。
私はこの変化がいちばん価値が高いと思っています。

この領域は、そもそも「どこが悪い」と言いにくい。
だから漢方鍼灸も「効いた!」より「なんとなく良い」の形で始まることが多いです。

たとえば寝つきが悪い、夜中に目が覚める、朝から重い。
胃が落ち着かない、食欲が乱れる。気分が沈みやすい。

こういうとき、鍼灸は“体を回復モードに入れやすくする”助けになります。
呼吸が深くなったり、頭の興奮が落ちたりして、「まず眠れる」方向に寄ることがある。眠れると回復が起きる。回復が起きると胃腸が動く。胃腸が動くと気分が上がる。するとまた眠れる。

この良いループの入口を作るのが鍼灸の強みになりやすい。

一方で漢方は、そのループが続くように“土台”を底上げしていきます。眠りの質、冷え、胃腸、体液の偏り。こういう背景が整ってくると、症状が消える前に、朝の軽さや気分の安定みたいな「周辺の改善」が先に出やすい。

つまりここでも例の現象——「なんとなく良い」が起きます。
これは決して曖昧な話ではなく、むしろ順序として自然なことが多いです。

ここまで読んで、

  • 漢方を飲んでるけど、判断がつかない
  • 鍼灸と併用した方が良さそうだけど、自分はどっちから?
  • 医療用薬局、どっちが向いてる?

みたいに迷ったら、遠慮なく相談してください。

治療は、結局「合う形を一緒に探す」が最短です。
(そして“なんとなく”を見逃さないのが、地味に一番大事です)

※本記事は一般的な情報で、個別の治療方針は体質・病状で変わります。症状が強い場合は医療機関も含めて相談してください。


※ 最後まで読んでくださった方へ

今回の合言葉は「合えば効く」です。

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もし今回の話が「もう少し深く知りたい」「ちょっと気になる」と感じた方へ。

新部のPodcastでも、東洋医学の考え方をできるだけ分かりやすく、日常に落とし込める形でお話ししています。

移動中や家事の合間に、ラジオ感覚で聞いてもらえたら嬉しいです。

▶ Podcastはこちら:https://open.spotify.com/show/3DWl426sg1AYv4Wb3UFDk1

ABOUT US
koji尊敬する人はルパン3世
大阪で治療院を開業して11年目になります。 妻と2人の子どもと暮らしながら、日々「うまくいかないこと」からも多くを学んでいます。 中医学に興味を持ち、身体だけでなく、心や思考の流れにも目を向ける治療を模索中。 このブログは、治療のことや日常での気づきを、自分なりの言葉で残す場所です。
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