第34回 はりきゅう国家試験 東洋医学臨床論

東洋医学臨床論(問題127〜150)
※本ページの問題文・選択肢は、学習しやすいように表現を調整しています(パラフレーズ)。
同じ問題を繰り返すと「答えの位置」や「番号」だけを覚えてしまい、理解できているか判断しにくくなるため、
選択肢の並びは表示のたびに入れ替わります(内容の正誤は変わりません)。

問127 患者を背臥位にし、股関節・膝関節を約90度屈曲した位置から、膝関節のみをゆっくり伸展させて下肢後面の疼痛を確認する徒手検査はどれか。

深掘り
問127 解説(ラセーグテスト)
  • ラセーグテストは、股関節と膝関節を屈曲した後、股関節の位置を保ったまま膝を伸展して坐骨神経を伸張する検査です。
  • 腰椎椎間板ヘルニアなどによる坐骨神経・神経根の刺激で、下肢後面に疼痛が誘発されます。
  • トーマステストは股関節屈曲拘縮、ボンネットテストは梨状筋による坐骨神経刺激を調べます。
  • ブラガードテストは下肢伸展挙上後に足関節を背屈して、神経症状の変化を確認します。

暗記核:
「股・膝90度から膝伸展=ラセーグ」

問128 【症例】50歳の女性。月に15日以上、主に午後から夕方にかけて、頭の両側や後頸部に締め付けられるような痛みがある。鎮痛薬の使用は月4〜5回である。最も考えられる頭痛はどれか。

深掘り
問128 解説(緊張型頭痛)
  • 緊張型頭痛は、両側性で圧迫・締め付けられるような痛みが特徴です。
  • 後頭部や後頸部の筋緊張を伴い、午後から夕方に悪化することがあります。
  • 片頭痛は拍動性で片側性が多く、悪心や光過敏を伴いやすい頭痛です。
  • 鎮痛薬の使用が月4〜5回であれば、薬物使用過多による頭痛の典型的な使用頻度とはいえません。

暗記核:
「両側・締め付け・後頸部=緊張型頭痛」

問129 【症例】75歳の女性。円背で胸腰椎移行部に圧痛がある。15年前に胃癌の既往があるが、血液検査とMRI検査では異常を認めない。脊椎エックス線像では陳旧性圧迫骨折がみられる。最も適切な疾患はどれか。

深掘り
問129 解説(骨粗鬆症と圧迫骨折)
  • 高齢女性の円背や椎体圧迫骨折は、骨粗鬆症の代表的な所見です。
  • 胸腰椎移行部は圧迫骨折が生じやすい部位です。
  • 胃癌の既往はありますが、MRIや血液検査で悪性腫瘍を疑う異常がないため、転移性骨腫瘍は考えにくくなります。
  • 骨軟化症では骨痛や筋力低下、多発性骨髄腫では貧血やM蛋白などを伴うことがあります。

暗記核:
「高齢女性+円背+椎体圧迫骨折=骨粗鬆症」

問130 【症例】76歳の女性。誘因なく右手のしびれが始まり、その後左手にも出現した。物をつかみにくく、歩行もぎこちない。両下肢の腱反射は亢進している。最も考えられる疾患はどれか。

深掘り
問130 解説(頸椎症性脊髄症)
  • 両手のしびれ、手指巧緻運動障害、歩行障害は頸髄障害を示唆します。
  • 両下肢の腱反射亢進は、上位運動ニューロン障害の所見です。
  • 頸椎症性神経根症では通常、障害神経根に一致した片側上肢症状が中心です。
  • 高齢者で徐々に進行する両上肢・下肢症状では、頸椎症性脊髄症を疑います。

暗記核:
「両手の巧緻障害+歩行障害+下肢反射亢進=頸髄症」

問131 筋緊張亢進によって肩関節の内旋が制限されている患者で、施術対象となる筋はどれか。

深掘り
問131 解説(内旋制限と外旋筋)
  • 肩関節内旋を制限する筋として、外旋作用をもつ筋の過緊張を考えます。
  • 棘下筋は肩関節の代表的な外旋筋です。
  • 大円筋と肩甲下筋は肩関節を内旋させます。
  • 上腕三頭筋長頭は肩関節伸展・内転にも関わりますが、主な外旋筋ではありません。

暗記核:
「内旋制限→外旋筋の棘下筋を確認」

問132 腰椎椎間板ヘルニアで、母趾屈曲筋力低下、アキレス腱反射減弱、下肢伸展挙上テスト陽性を示す。施術対象となる神経根として最も適切なのはどれか。

深掘り
問132 解説(S1神経根障害)
  • S1神経根障害では、足関節底屈や母趾屈曲の筋力が低下します。
  • 深部腱反射ではアキレス腱反射が減弱します。
  • 感覚障害は下腿後外側から足外側に現れやすくなります。
  • L5神経根では母趾伸展や足関節背屈の低下が重要です。

暗記核:
「S1=母趾屈曲・足底屈・アキレス反射」

問133 【症例】17歳の女子。受験勉強で肘を曲げた姿勢が長時間続き、手背を除く利き手の尺側にしびれが出現した。フロマン徴候は陽性である。絞扼部位近傍の治療穴として適切なのはどれか。

深掘り
問133 解説(ギヨン管症候群と神門)
  • 手背を除く手の尺側のしびれは、手関節部での尺骨神経障害を示唆します。
  • 尺骨神経が手関節のギヨン管で絞扼されると、手背の感覚が保たれることがあります。
  • フロマン徴候陽性は尺骨神経麻痺を示す所見です。
  • 神門は手関節尺側に位置し、ギヨン管近傍の治療穴として選ばれます。
  • 小海は肘部管に近く、肘部での尺骨神経絞扼に用いる部位です。

暗記核:
「手背は正常+尺側手掌のしびれ=ギヨン管→神門」

問134 鼻尖部を分布領域とする神経の神経痛に対して、局所治療穴として適切なのはどれか。

深掘り
問134 解説(三叉神経第1枝)
  • 鼻尖部の知覚は、三叉神経第1枝である眼神経系の外鼻枝などが担います。
  • 陽白は前額部にあり、眼神経領域の三叉神経痛に用いられます。
  • 四白は第2枝の上顎神経、大迎は第3枝の下顎神経領域です。
  • 聴会は耳前部に位置します。

暗記核:
「第1枝=陽白、第2枝=四白、第3枝=大迎」

問135 フォンテイン分類によって重症度を評価する疾患はどれか。

深掘り
問135 解説(フォンテイン分類)
  • フォンテイン分類は、末梢動脈疾患・閉塞性動脈硬化症の重症度分類です。
  • Ⅰ度は無症状、Ⅱ度は間欠性跛行、Ⅲ度は安静時疼痛、Ⅳ度は潰瘍・壊死です。
  • 腰部脊柱管狭窄症でも間欠性跛行がみられますが、フォンテイン分類の対象ではありません。

暗記核:
「フォンテイン=末梢動脈疾患」

問136 アトピー性皮膚炎の生活指導として誤っているのはどれか。

深掘り
問136 解説(皮膚への刺激を避ける)
  • アトピー性皮膚炎では、皮膚を清潔に保ち、保湿によってバリア機能を補うことが重要です。
  • 汗は刺激となるため、速やかに洗い流すことが推奨されます。
  • 室内清掃によるダニ・ほこりなどのアレルゲン対策も行います。
  • 痒い部分を手掌で叩く行為も皮膚刺激となり、炎症や掻破を悪化させるため適切ではありません。

暗記核:
「洗浄・保湿・刺激回避」

問137 【症例】45歳の男性。長時間のパソコン作業が続き、眼精疲労と右頸肩部から前腕の鈍痛・しびれがある。筋力・知覚・頸部可動域に明確な異常はなく、スパーリングテストとルーステストは陰性である。最も適切な疾患はどれか。

深掘り
問137 解説(VDT症候群)
  • 長時間の情報機器作業によって、眼精疲労、頸肩腕の痛み、倦怠感などが生じる状態をVDT症候群といいます。
  • 神経根障害を示す筋力・知覚異常やスパーリングテスト陽性がありません。
  • ルーステスト陰性であり、胸郭出口症候群も考えにくい所見です。
  • 作業姿勢、休憩、画面環境などの見直しが重要です。

暗記核:
「長時間PC+眼精疲労+頸肩腕症状=VDT症候群」

問138 橈骨神経麻痺で萎縮した筋に対する施術部位として、最も適切なのはどれか。

深掘り
問138 解説(橈骨神経支配筋)
  • 橈骨神経は、上腕・前腕後面の伸筋群を主に支配します。
  • 橈骨神経麻痺では、手関節や手指の伸展が困難となり、下垂手がみられます。
  • 施術対象となる萎縮筋は、前腕後側の手関節・手指伸筋群です。
  • 前腕前側の屈筋群は主に正中神経・尺骨神経支配です。

暗記核:
「橈骨神経=伸筋群=前腕後側」

問139 疾患と罹患筋に対する治療穴の組合せで、適切なのはどれか。

深掘り
問139 解説(オスグッド病と大腿四頭筋)
  • オスグッド病は、膝蓋腱を介して大腿四頭筋の牽引力が脛骨粗面に繰り返し加わることで生じます。
  • 伏兎は大腿前面の大腿四頭筋上にあり、罹患筋への治療穴として適切です。
  • 鵞足炎は縫工筋・薄筋・半腱様筋、アキレス腱炎は下腿三頭筋との関連が重要です。
  • シンスプリントでは後脛骨筋やヒラメ筋など脛骨内側の牽引組織を考えます。

暗記核:
「オスグッド=大腿四頭筋の牽引→伏兎」

問140 【症例】32歳の男性、競輪選手。レース中に右膝外側痛が出現した。内反ストレステストは陰性、グラスピングテストは陽性である。障害されている組織として最も適切なのはどれか。

深掘り
問140 解説(腸脛靱帯炎)
  • グラスピングテストは、腸脛靱帯炎を評価する検査です。
  • 膝の屈伸を繰り返す自転車競技や長距離走で、腸脛靱帯と大腿骨外側上顆の摩擦が生じます。
  • 内反ストレステスト陰性であるため、外側側副靱帯損傷は考えにくくなります。

暗記核:
「膝外側痛+グラスピング陽性=腸脛靱帯」

問141 滑数脈を伴う消穀善飢に対し、五行穴の特性と迎随の補瀉を用いて治療穴へ斜刺する。鍼尖の方向に位置する経穴として適切なのはどれか。

深掘り
問141 解説(胃火と内庭への瀉法)
  • 消穀善飢と滑数脈は、胃火・胃熱を示します。
  • 足陽明胃経は土に属し、実証では子に当たる金穴を瀉す考え方を用います。
  • 胃経の金穴は内庭です。
  • 迎随の瀉法では経脈の流れに逆らう方向へ刺すため、内庭から近位側の陥谷方向へ鍼尖を向けます。

暗記核:
「胃実熱→内庭を瀉す→逆行して陥谷方向」

問142 【症例】40歳の女性。自信を失ってから食欲不振と軟便、倦怠感が続き、最近は眠りが浅く動悸もある。舌質淡、白苔、細弱脈を認める。難経六十九難に基づいて治療する場合、上肢の取穴部位として最も適切なのはどれか。

深掘り
問142 解説(心脾両虚と母穴)
  • 食欲不振、軟便、倦怠感は脾気虚、浅眠と動悸は心血虚を示し、心脾両虚が考えられます。
  • 難経六十九難では「虚すればその母を補う」とします。
  • 心は火に属し、その母は木です。心経の木穴は少衝です。
  • 脾は土に属し、その母は火です。脾経の火穴は大都です。
  • 上肢では、少衝が小指末節の橈側、すなわち指先にあります。

暗記核:
「心虚→母の木穴・少衝=指先」

問143 痛痹による肩痛に対し、十二刺を用いて治療する場合に最も適切なのはどれか。

深掘り
問143 解説(斉刺)
  • 痛痹は寒邪の影響が強く、痛む場所が固定して強く痛む病証です。
  • 斉刺は、中心に1鍼、その両側に各1鍼の合計3鍼を深く刺す方法です。
  • 寒気が深部にあって狭い範囲に固定した痛みを生じる場合に用います。
  • 輸刺は骨節部、賛刺は浅く出血させる方法、直鍼刺は皮膚をつまんで横刺する方法です。

暗記核:
「固定した深い痛み=斉刺」

問144 風熱犯肺によって生じる浮腫の特徴はどれか。

深掘り
問144 解説(陽水)
  • 風熱が肺の宣発・粛降を障害すると、水液の輸布が妨げられて浮腫が生じます。
  • 外邪による浮腫は陽水に分類され、発症が急で上半身に現れやすいのが特徴です。
  • 特に眼瞼や顔面から浮腫が始まることが多くなります。
  • 陰水は脾腎陽虚などによって慢性的に生じ、下半身から現れやすく、圧痕の回復も遅い傾向があります。

暗記核:
「風水・陽水=急性・顔面・眼瞼から」

問145 【経脈病証】動悸、胸苦しさ、上肢痛があり、その後に耳鳴りと難聴も出現した。原絡配穴法で治療する場合、最も適切な組合せはどれか。

深掘り
問145 解説(心包経と三焦経の原絡配穴)
  • 動悸・胸苦しさ・上肢痛は手厥陰心包経病証、耳鳴り・難聴は表裏関係にある手少陽三焦経病証として考えます。
  • 心包経を主病とする場合、その原穴である大陵を用います。
  • 表裏経である三焦経の絡穴は外関です。
  • 原穴と表裏経の絡穴を組み合わせる方法を原絡配穴法といいます。

暗記核:
「心包原穴=大陵、三焦絡穴=外関」

問146 【症例】60歳の男性。人間関係の破綻後、強いいらだち、下腹部膨満、便秘が出現し、最近は頭痛、目の充血、排尿困難、残尿感もある。寝汗はなく、舌質紅、黄苔、弦数脈を認める。最も適切な病証はどれか。

深掘り
問146 解説(肝鬱化火)
  • 精神的ストレスによって肝気が鬱滞し、長期化して火へ変化した状態が肝鬱化火です。
  • いらだち、頭痛、目の充血、便秘、尿の出にくさなどの熱症状が現れます。
  • 舌質紅、黄苔、弦数脈も実熱を示します。
  • 肝気鬱結のみでは、明らかな紅舌・黄苔・数脈などの火熱所見は弱くなります。

暗記核:
「肝鬱+いらだち・目赤・黄苔・数脈=肝鬱化火」

問147 【症例】65歳の男性。抜け毛が増え、下肢と下腹部が冷え、朝方の下痢が続いている。舌質淡、白苔、細弱脈を認める。この病証に対する治療穴として最も適切なのはどれか。

深掘り
問147 解説(腎陽虚と命門)
  • 抜け毛は腎精の不足、下半身の冷えや五更泄瀉は腎陽虚を示します。
  • 淡舌、白苔、細弱脈も虚寒証の所見です。
  • 命門は督脈上、第2腰椎棘突起下にあり、腎陽を温補する代表穴です。
  • 陶道・神道・霊台はいずれも胸椎部の督脈穴です。

暗記核:
「下半身冷え+五更泄瀉=腎陽虚→命門」

問148 「腹部が張り、腰が安定せず、寒熱往来に苦しむ」という病証に八脈交会穴を用いる。下肢の治療穴として最も適切なのはどれか。

深掘り
問148 解説(帯脈と足臨泣)
  • 腹部の膨満や腰の不安定感は、腰腹部を帯のように巡る帯脈病証として考えます。
  • 寒熱往来は少陽病証との関係も深い症状です。
  • 帯脈に通じる八脈交会穴は、足少陽胆経の足臨泣です。
  • 足臨泣は外関と組み合わせて用いられます。

暗記核:
「帯脈=足臨泣」「陽維脈=外関」

問149 【症例】48歳の女性。白色・無臭で粘稠な帯下が増え、だらだらと続いている。顔はやつれ、血色が悪く、舌苔白膩、緩脈を認める。最も適切な病証はどれか。

深掘り
問149 解説(脾虚湿盛による帯下)
  • 脾の運化機能が低下すると、水湿が停滞して帯下が増えます。
  • 脾虚湿盛の帯下は、白色で無臭、粘稠で長く続くのが特徴です。
  • 白膩苔と緩脈も湿盛を示します。
  • 膀胱湿熱では黄色で臭いの強い帯下、排尿痛などが現れやすくなります。

暗記核:
「白・無臭・粘稠・白膩苔=脾虚湿盛」

問150 小児疳の虫に対し、小児斜差の灸とちりげの灸を行う。取穴の指標とならない棘突起はどれか。

深掘り
問150 解説(小児斜差の灸とちりげの灸)
  • 小児斜差の灸は、小児疳の虫などに用いられる特殊灸法です。
  • 第3胸椎棘突起と第11胸椎棘突起などを基準に、斜めに交差させて取穴します。
  • ちりげの灸では、身柱など第3胸椎棘突起付近が重要な指標となります。
  • 第9胸椎棘突起も小児斜差の灸の取穴過程で指標となります。
  • 選択肢のうち、第5胸椎棘突起はこれらの灸法の取穴指標とはなりません。

暗記核:
「小児斜差・ちりげの灸ではT3・T9・T11を確認」

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koji(トレ​イン治療院 院長)はり・きゅう・あん摩マッサージ指圧師|国際中医専門員
大阪で治療院を開業して12年。 体は、その人の生き方や時間の積み重ねが静かに現れる場所だと感じています。 中医学を土台に、身体だけでなく心や生活の流れまで含めて整えていく。 そんな治療を大切にしています。 ブログでは、臨床の中での気づきや、体と向き合うための小さなヒントを、自分なりの言葉で書き残しています。 読んだ方の毎日が、少しでも軽くなれば嬉しい。
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