東洋医学臨床論
次の文で示す症例についての問いに答えよ。
「24歳の女性。月経開始から2日間ほど月経痛が激しく、吐き気がある。腰痛もあるが、特に下腹部痛が強く憂うつになる。不正性器出血や月経周期の異常はなく、器質的な障害もない。」
①下腹部痛の原因に最も関与するのはどれか。
1 ヒスタミン
2 アドレナリン
3 オキシトシン
4 プロスタグランジン
②痛みの原因となっている器官名と同名の腧穴に刺鍼する場合、その取り方として正しいのはどれか。
1 関元の外方5分
2 関元の外方2寸
3 中極の外方2寸
4 中極の外方3寸
②回答→4
【①解説】
はり理論的な問題ですね。まず痛みの内因性発痛物質にはヒスタミン、セロトニン、ブラジキニン、アセチルコリン、カリウムイオン、ATPなどがあり、これらの物質が関連し、神経を通じて脳へ痛みを伝達させるのである。そしてプロスタグランジンは内因性発痛物質ではなく、発痛増強物質と覚えておこう。
問題では月経困難症に関するもので、これには器質性月経困難症と機能性月経困難症がある。器質性月経困難症は子宮内膜症や子宮腺筋症、子宮筋腫など骨盤内臓器の異常によるもの。機能性月経困難症は器質的な異常では説明できないもので、痛みは子宮収縮と虚血から生じると考えられている。特に分泌期の子宮内膜では、プロスタグランジンなどの炎症メディエーターが産生され、これらは強力な筋層刺激物質、血管収縮物質である。
因みにNSAIDs(アスピリン)は、シクロオキシゲナーゼ(COX)活性阻害によってこのプロスタグランジンの生成を抑制する働きを持っている。商品名でいうとロキソニンなどがそうですね。
【②解説】
痛みの原因となっている器官は子宮なので、奇穴の子宮に刺鍼する。子宮の主治は教科書では婦人科系疾患(月経不順、月経痛、不妊症、子宮下垂、子宮脱)、膀胱炎とある。
1 関元の外方5分ー大赫
2 関元の外方2寸ー水道
3 中極の外方2寸ー帰来
4◯中極の外方3寸ー子宮