東洋医学臨床論
次の文で示す症例について、問題①、問題②の問いに答えよ。
「32歳の女性。主訴は月経時の下腹部および腰の痛み。主訴の部位と手足の冷えを伴い、温めると改善する。月経血は暗紫色で血塊が混じる。婦人科では機能性月経困難症と診断された。」
問題① 最もみられる脈状はどれか。
1.浮緊
2.滑数
3.遅濇
4.細無力
問題② デルマトームを考慮した治療を行う場合、最も適切な経穴はどれか。
1.膈兪
2.腎兪
3.足三里
4.三陰交
①回答→3
②回答→2
②回答→2
【①解説】
機能性月経困難症は、原発性月経困難症とも言われ、骨盤内に器質的な原因が無くて月経困難症をきたすものである。中医学では月経に伴って周期的に痛むものを痛経と呼ぶ。痛経は、実証・虚証・寒凝経脈でに分類される。
患者は「下腹部および腰の痛み」は温めて改善する事から、寒により経脈が凝結し、胞絡が収縮して引きつったため、痛みを引き起こしたと考えられる。
また月経血に血塊が混じるのは瘀血の現れで、色が紫暗色のものは寒凝血瘀が原因である。
1.浮緊→ 風寒表証など
2.滑数→ 湿熱、痰熱、熱痹など
3.◯遅濇→ 寒凝血瘀など
4.細無力→ 気血不足など
【②解説】
他にも、デルマトームを利用して治療点を選んだ場合、腰背部では脾兪、胃兪、三焦兪、腹部においては帰来、関元などを治療点とする。
参考: 鍼灸療法技術ガイドⅡ P.304
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