臨床医学各論
症状の階段状悪化がよくみられるのはどれか。
1 前頭側頭型認知症
2 レビー小体型認知症
3 血管性認知症
4 アルツハイマー型認知症
【解説】
それぞれの疾患の特徴を確認しよう。
1 前頭側頭型認知症(ピック病)
アルツハイマー病の頻度の約10%とされ、女性に多い。成因は不明で、大脳の特定の部位に葉性の萎縮を認める。とくに前頭葉に強い例と側頭葉に強い例がある。大脳皮質神経細胞の変性と萎縮、白質萎縮によるグリオーシス、神経細胞内に銀染色で黒く染まるピック小体の出現がある。特異的な人格変化や異常行動がみられるのが特徴である。
2 レビー小体型認知症
老年期に発症し、進行性の認知機能障害とともに幻視などの特有の精神症状とパーキンソニズムを呈する神経変性疾患。アルツハイマー型認知症、脳血管型認知症とともに3大認知症の1つである。脳幹から大脳皮質にかけてびまん性にレビ小体が出現。老人斑や神経原線維変性などの病理所見も見られる。
※パーキンソン病の場合は脳幹(特に中脳黒質)に局限してレビ小体がみられる。
3◯血管性認知症(多発性脳梗塞型認知症)
脳血管障害(脳梗塞、脳出血、クモ膜下出血)によって生じる大脳半球の病変に基づく認知症の総称で、アルツハイマー型の次に多い認知症である。新しい梗塞が起きるたびに認知機能が階段様増悪したり動揺するのが特徴的である。知的機能障害が全般的でなく、きちんとしたところもあり、礼儀をわきまえ、ときにはっきりした記憶の断片を述べたりする(まだら認知症)。神経症状として、言語障害(構音障害、緩徐言語)、歩行障害、錐体路徴候、仮性球麻痺、失語、てんかんなどが一過性、持続性に動揺しながらみられる。
4 アルツハイマー型認知症(アルツハイマー病)
記憶・認知機能障害を主症状とする認知症で、認知症の中では最も多い。病理学的にはびまん性の脳の萎縮、組織学的には大脳皮質に多数の老人斑、アルツハイマー型神経原線維化が認められる。
参考:東洋療法学校協会 臨床医学各論 P.257〜