生理学
自律神経とその組み合わせで誤っているのはどれか。
1 交感神経節前線維ーα受容体
2 交感神経節後線維ーβ受容体
3 副交感神経節前線維ーニコチン受容体
4 副交感神経節後線維ームスカリン受容体
【解説】
自律神経系の受容体の問題である。神経伝達物質も同時に覚えておこう。
[神経伝達物質]
交感神経節前ニューロン末端、副交感神経節前・後ニューロン末端から放出される神経伝達物質はアセチルコリン(ACh)である。AChを放出するニューロンをコリン作動性ニューロンという。一方、交感神経節後ニューロン末端からは殆どの例でノルアドレナリン(エピネフリン)が放出される。これをアドレナリン作動性ニューロンという。例外として、汗腺を支配する交感神経節後ニューロン末端からはアセチルコリンが放出される。これは国試でも狙われやすい。
[神経伝達物質の分解](出題率低)
●放出されたアセチルコリン→ 受容体に作用→ アセチルコリンエステラーゼ(AChE)によりコリンと酢酸に分解→ コリンは神経終末に取り込まれてアセチルコリンの合成に再利用。
※サリンなどの神経ガスはAChEを失活させる。
●放出されたノルアドレナリン→ 受容体に作用→大部分は神経終末に再取り込み→ その他は以下に分類される。
・神経終末の中のミトコンドリアにあるノルアドレナリン分解酵素であるMAO(モ ノアミン酸化酵素)により分解されて、不活性の脱アミノ産物になって神経外に出てくる。
・効果器の細胞膜にある分解酵素であるCOMT(コムト)により、ノルメタネフリ ン (NMN)に分解されて不活性化される。
・循環血中に入り、肝臓において代謝される。
[受容体]
●アドレナリン受容体
交感神経節後ニューロン末端から放出されるノルアドレナリンや副腎髄質から分泌されるアドレナリンが作用する効果器細胞の受容体にα受容体とβ受容体の2種類がある。
・α受容体が関与するものー全身の血管収縮、胃腸管の括約筋の収縮、瞳孔散大(散瞳)などに関与する。
・β受容体が関与するものー心拍数増加、心収縮力増大、脂肪分解促進、骨格筋の血管拡張、気管支拡張、胃腸管の平滑筋弛緩、毛様体筋弛緩、レニン分泌などに関与する。
●アセチルコリン受容体
アセチルコリン受容体には、ニコチン受容体とムスカリン受容体の2種類がある。
・ニコチン受容体ー節後ニューロンの細胞体に存在する。(ニコチン受容体は少 量のニコチンによって刺激されるが、大量のニコチンや神経節遮断薬(クラーレなど)で遮断される。)
・ムスカリン受容体ー平滑筋などの効果器に存在する。(アトロピンで遮断される。)
1◯交感神経節前線維ーニコチン受容体
2 交感神経節後線維ーα受容体、β受容体、ムスカリン受容体
3 副交感神経節前線維ーニコチン受容体
4 副交感神経節後線維ームスカリン受容体