臨床医学各論
非代償性肝硬変でみられる血液検査所見はどれか。
1 総ビリルビン値低下
2 血小板減少
3 プロトロンビン時間短縮
4 アルブミン値上昇
回答→2
【解説】
肝硬変は機能的な面で代償期と非代償期に分けられる。
・代償期
残存している肝細胞機能によって肝機能を十分に代償できているため強い症状が現れてない時期。
・非代償期
肝機能が強く障害されて、他の細胞でも代償できずに重篤な症状が出現する時期。
1 総ビリルビン値増加
もちろん、総ビリルビンは高値となる。
2◯血小板減少
肝硬変により肝臓内に流入する門脈の血流が減少することによって脾臓への血流が増加すためと言われている。
3 プロトロンビン時間(PT)延長
PTとは血液の固まる時間を測定したものである。プロトロンビンとは血液凝固因子の第II因子で、血漿にトロンボプラスチンという物質を加えると固まる。血液凝固因子の殆どは肝臓で作られるため、肝機能が低下すると凝固因子も減少するためPTは延長するのだ。
4 アルブミン値減少
アルブミンは主に肝臓で作られるたんぱく質であるため、肝機能が低下すれば低値となる。因みにγグロブリンは高値となる。これの成因機序は明らかにされていないが、とある論文によれば肝内短絡路などによる血流異常の為に、腸管に由来する種々の抗原物質が肝 で処理されずに脾や骨髄などの肝外の抗体産生臓器に達し、そこで抗体産生が促進されて高γグロブリン血症がみられると書いてある。