臨床医学各論
閉塞により同名半盲をきたしやすい血管はどれか。
1 前大脳動脈
2 後大脳動脈
3 椎骨動脈
4 中大脳動脈
【解説】
1 前大脳動脈
大脳半球の内側面を頭頂葉まで枝を伸ばし栄養する。根もとで出る枝の前交通動脈により左右がつながれる。
2◯後大脳動脈
後大脳動脈は、後交通動脈を介して内頸動脈とつながり、主に大脳の後方の内側面の血流に関与し、後頭葉では主に視野に関わる部位の血流を担っている。
3 椎骨動脈
鎖骨下動脈の最初の太い枝で、まっすぐ第6頸椎の横突孔へ向かう。周囲の筋や骨への枝を出しながら横突孔を次々と上行し、環椎の後弓の上で環椎後頭膜を貫きクモ膜下腔に入り、脊髄への枝(前脊髄動脈)を出す。大孔をへて頭蓋腔の延髄の前面を上行し、延髄と橋の境界近くで左右の椎骨動脈は合流して脳底動脈となる。
4 中大脳動脈
内頸動脈の最終枝で、大脳の外側溝の深部(シルビウス裂隙)を多数の枝(穿通枝)を出しながら後上方へ伸びる。大脳の外側面の大部分を栄養する。根もとで内包、間脳や脈絡叢など脳の深部へ多数の細い枝を出す。
[同名半盲とは]
同名半盲は両眼で同じ側の視野が欠けることである。原因を簡単に言うと、視神経の経路で特定の部分が障害された場合に同名半盲が起こる。
[視覚の伝導路]
視細胞→ 双極神経細胞→ 神経節細胞→ 視神経→ 視神経交叉→ 視索→ 外側膝状体(視床)→ 視放線→ 視覚野(後頭葉)※視索の一部は中脳上丘へ
このルートの中の視索部、視放線部、後頭葉などが障害を受けると同名半盲となる。原因疾患としては脳腫瘍や脳梗塞。
[因みに]
同名半盲と半側空間無視の違いは何か。
同名半盲の場合は、視線を左側にずらして
いくと欠損部分が見えてくるが、半側空間無視の場合は視線を動かしても左側を認識することができない。
同名半盲→ 視神経の障害
半側空間無視→ 大脳半球の障害(主に右の大脳半球の障害:劣位半球)